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新星・寄川歌太、いじめにあう中学生役で圧倒的な存在感!岩上貴則P、抜擢の理由明かす

寄川歌太演じる学級委員長(写真中央)
寄川歌太演じる学級委員長(写真中央) - (C) 2020「滑走路」製作委員会

 32歳の若さで命を絶った歌人・萩原慎一郎さんの歌集に基づく映画『滑走路』(公開中)で、水川あさみ浅香航大と共にメインキャストに抜擢された16歳の新星・寄川歌太(よりかわ・うた)。劇中、壮絶ないじめにあう中学二年生の学級委員長を体当たりで演じ、鮮烈な存在感を発揮している。2010年に「平成中村座」の歌舞伎の舞台で俳優デビュー。映画でのキャリアはまだ浅い彼だが、起用の決め手は何だったのか? 岩上貴則プロデューサーが語った。

『滑走路』涙のロングバージョン予告編

 本作は、萩原さんがいじめや非正規雇用を経験しながら2017年に発表した「歌集 滑走路」をモチーフにしたオリジナルストーリー。子を持つ選択肢に葛藤する切り絵作家の翠(水川)、ある青年の自死の理由を調査する若手官僚・鷹野(浅香)、そして寄川演じる幼馴染を助けたことをきっかけにいじめの標的となる中学生という世代の異なる3人の人生が交錯していくさまを追う。

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 ヒット曲をモチーフにした映画は数あれど、短歌を題材にするのは異例のこと。岩上Pは、映画化の経緯を以下のように話す。「萩原さんの歌集を読んで、まず驚いたのが歌集の持つ多面性でした。これまで非正規という側面で語られることが多かった歌集ですが、それだけじゃない、心を鼓舞してくれる優しさや純真な恋心を詠んだ歌など、一面では語り切れない魅力を持っているため、多くの人たちの胸に響くものになるのではないかと感じました。また、小説や楽曲と違い、より抽象性の高い短歌だからこそ、オリジナルストーリーに挑むことが出来るのではという気持ちもありました」

滑走路
いじめにあっていた幼馴染をかばったことから自分が標的にされてしまう

 監督はコンペ形式で選考したといい、歌集について書かれた数多くのレビューから着想を得て、読者が歌集から受け取ったさまざまな感情をキャラクターに落とし込んだ群像劇として描く、という大庭功睦監督のアイデアが採用された。岩上Pいわく、映画化において重要だったのは「希望を持てる作品」にすること。「最初に歌集を読み終えた時、優しく背中を押してくれるエールのように感じられたんです。萩原さんは亡くなってしまったけれど、彼の歌はこれからもずっと残って誰かの心に寄り添っていく。この映画も歌集と同じように誰かの心に届いてくれたらと思っています。劇中に歌そのものを出すのではなく、歌を情景として描いたり、台詞やモチーフとして散りばめたりと、歌集のエッセンスを脚本に織り込んでいったので、歌集読者の皆さんにはそこもポイントとして観ていただけたら」

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 映画では3人の人物の切実な苦悩が描かれ、とりわけいじめにあう中学の学級委員長は母親にも打ち明けられず、次第に追い詰められていく。毅然とした態度でいじめを阻止していた彼が、自身が標的となり、繰り返し暴力を受けるうちに虚ろな表情に変化していくさまには言葉を失う。そんな難役に、新人の寄川が起用されたのは「中学生パートはオーディションで決めたい」という大庭監督の要望によるもの。書類選考を含めると500人近くの応募があり、オーディションは2019年11月から12月下旬にかけて4回にわたって行われた。岩上Pは、寄川を起用した経緯を以下のように振り返る。

 「監督は一次オーディションの段階から寄川歌太くんと木下渓さん(同級生・天野役)を第一候補に挙げていました。わたしは正直、監督ほど強い確信は持てずにいたのですが、オーディションを重ねるごとにどんどん芝居が良くなっていって、最終オーディションでは寄川くん以外いないだろうというくらい圧倒的でした。それは撮影現場に入ってからも同じで、監督が一声かけるとぐっと芝居がよくなるんです。脚本をしっかりと読み込んできた上で、現場では監督の演出の意図を考え対応していく柔軟性と、何でも吸収して成長したいという貪欲さ、そして現場スタッフから愛される無垢な人間性を併せ持った魅力的な役者だと思います」

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滑走路
絵の好きな天野(木下渓)が、唯一彼の心のよりどころになっていく……

 撮影現場でも寄川が日々成長していく姿に驚かされたというが終盤、唯一心を許せる同級生の天野(木下渓)に会いに行くシーンでは「寄川くんのオールアップ(かつ、作品としてもクランクアップ)の日でもあったのですが、撮影を経て成長した姿には、この役は自分が背負うんだという頼もしさを感じた」と岩上P。天野に想いを伝えようと全力で叫ぶシーンに「届くか届かないかはわからない、それでも全力で想いを伝えようと叫ぶその表情を、ぜひ映画館の大きなスクリーンで観てほしい」と力を込める。

 寄川は現在、本作のほか、YOASOBIの第4弾楽曲の原作小説「たぶん」を原案にした映画『たぶん』が公開中。同作では夏の大会が自粛で中止となってしまった高校のサッカー部員を演じている。コロナ禍で公開延期となった岡田准一主演の映画『燃えよ剣』では、新選組隊士・田村銀之助を演じる。(編集部・石井百合子)

『滑走路』水川あさみ、浅香航大、寄川歌太ら涙のロングバージョン予告編 » 動画の詳細
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