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なぜポケモンを父親に設定?ポケモン映画『ココ』矢嶋哲生監督が明かす制作裏話

クリスマスに公開!『劇場版ポケットモンスター ココ』
クリスマスに公開!『劇場版ポケットモンスター ココ』 - (C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2020 ピカチュウプロジェクト

 ポケモン映画シリーズ第23弾『劇場版ポケットモンスター ココ』(12月25日公開)のテーマは“親子”。本作の監督を務めた矢嶋哲生が、ポケモンを“父親”と設定した理由や、制作の裏側について語った。

【画像】ポケモンに育てられた人間の少年・ココ

自身の育児経験が作品のテーマにつながった

矢嶋哲生監督
矢嶋哲生監督

 ジャングルの奥地にあるポケモンたちの楽園・オコヤの森を舞台に、幻のポケモン・ザルードと、ザルードが育てた人間の少年・ココの物語が展開される本作。ポケモンと人間の“親子”というテーマは、矢嶋監督自身が提案したものだ。このテーマを選んだきっかけは、監督自身の育児経験にあった。

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 「5歳の息子と2歳の娘がいるんですが、二人が生まれて僕の人生観が変わったというか、二人にすごくいい方向で影響を受けたんです。なので、映画をやらないかと言われて僕に伝えられることを考えた時、そういうテーマにできたら一番いいのかなと思いました」

 冒頭では、ココを拾ったザルードが慣れない育児に奮闘するシーンが展開し、グッと観客を物語の世界へと引き込んでいく。ジャングルで暮らすなか、ザルードがココに家を燃やされてしまうシーンも登場するが、矢嶋監督は「僕は寝て起きたらベッドがのりたまだらけだったんですよ(笑)そういうことっていろんな親御さんに共感してもらえるかなって思って」と笑顔で振り返る。「少なからずとも絶対に皆さんそういう経験があると思うんですよね。例えば、油性マジックで壁に絵を描かれたとか。そういうところから一気に作品に共感してもらえたらいいかなと思って、ああいうシーンを作りました」

 ザルードを“父親”という設定にしたのも、監督自身の思いや体験をより物語に乗せやすくするためだったという。「やっぱり僕目線で書いていたので、母親というよりかは父親がどう思うのかみたいなところに乗せて書いたほうが、視聴者にもダイレクトに伝わるかなと思ってお父さんにしました。あと、そもそも男親ってある日突然親になるみたいなところがあるので、ココを拾うということがそれを(観客も)一緒に共有できるシチュエーションなのかなぁという思いがありました」

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イメージにぴったり!上白石萌歌&中村勘九郎の声

『劇場版ポケットモンスター ココ』
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2020 ピカチュウプロジェクト

 ザルードには、大河ドラマ「いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~」での活躍も記憶に新しい歌舞伎俳優の中村勘九郎が声を吹き込んだ。ぶっきらぼうながらも、ココへの愛情が伝わるような温かみのある声はザルードにぴったり。矢嶋監督も「勘九郎さんはそもそも僕の中にお父さんというイメージがありました。演じる際にも重心を低くしてやっていらっしゃって。ザルードは江戸っ子っぽい昔のお父さん風なところがありますが、それも相まって勘九郎さんにぴったりな役だなと思いました」と満足げだ。

 そんなザルードに育てられ、ポケモンと人間の狭間で揺れ動くことになる10歳の少年・ココの声を演じたのは、細田守監督のアニメーション映画『未来のミライ』(2018)でも声優経験がある女優の上白石萌歌。「上白石さんはすごくピュアな声で、ココにぴったりだなと思っていました。ただ、少年役ということですごく男の子ゼリフが多くて、そこには苦労されてた印象で、申し訳ないと思いながら『もう少し男の子っぽく』とお願いはしました。でも、最終的にすごく『あぁ、ココだな』と思うくらいナチュラルでしたね」

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 特に、上白石は劇中で話す言語の演じ分けにも苦労していたそう。矢嶋監督は「今回すごく難しいのは、(ポケモンの言葉から人間の言葉に)翻訳された言葉とポケモンの言葉、そしてサトシと会話する時に片言で人間の言葉もしゃべるので、演じ分けが必要だったんです。『ポケモン』のなかでこんなに演じ分けるキャラもそんなにいないんじゃないかっていうぐらい演じ分けが多かったので、本当に申し訳ないなと思いながらお願いしていました」と上白石の奮闘を称える。

実際のジャングルも取材!木漏れ日にまでこだわる

『劇場版ポケットモンスター ココ』
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2020 ピカチュウプロジェクト

 ジャングルが舞台となっているため、実際にジャングルを訪れて取材も行った。「実際のジャングルを見ると、本当に隙間なく木で埋まっていたんです」としみじみ語る矢嶋監督。背の高い木々やポケモンたちにのせられた木漏れ日など、画面の隅々までこだわり抜かれた映像にはその取材の成果が反映されている。

 なかでも印象深いのは、ジャングルでの疾走シーンだ。ツタを利用しながら木々の間を移動していくココたちの姿が臨場感たっぷりに描かれているが、同シーンについて矢嶋監督は「実際にココがこの場所を飛んだらどうなるか思い描きながら取材をしていました。このシーンでは、必ず画面の手前は樹でさえぎるようにしました。スピード感を出すためには、密度が必要だからです。いかにもジャングルのなかを飛んでるように見せるために、どうしようかという話をスタッフとしましたね」と述懐。今作でのアクションについても「ジャングルを舞台にしたからこそできるアングル、疾走感あるカメラワークみたいなものを取り入れようかなと思いました」とこだわりを明かす。

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 生き生きとしたアクションシーンだけでなく、さまざまなポケモンたちの登場にも胸が弾む。なかでも存在感を放っているのはホシガリスだ。「ホシガリスは可愛いですよね。しぐさも全部アニメーターさんにこだわってもらったんで」と笑顔をこぼす矢嶋監督は、数多くのポケモンのなかからホシガリスを選んだ理由について次のように説明した。

 「まだ『ポケットモンスター ソード・シールド』の情報が発表されていない頃に株式会社ポケモンさんの会議室で、モニター上でサーっとポケモンを見たんです。そのなかで目を引いたのがホシガリスでした。ちょっと重いストーリーになるなと思っていたので、箸休めというか、お笑いキャラになるような子がいたほうがいいと思ったのと、なるべくワンオペの家族にはしたくなかったんです。ザルードが倒れた時も誰か助けがほしいな、と思って。だったら友達ポケモンみたいな存在を作っちゃおうと。そのポケモンに関しては、ザルードも森の掟(※よそ者は入れない)上は嫌だけど、すごく助かるみたいな(笑)。そういうポケモンがいないかなと思って、ポケモンたちを見せていただいた時に一番目を引いたのでホシガリスを採用しました」。ココとザルードの親子のつながりだけでなく、コミックリリーフ的な役割を担いつつ、彼らを傍で支えるホシガリスとの関係にも注目だ。(編集部・吉田唯)

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