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カンヌ4冠『ドライブ・マイ・カー』原作から車の色を変えた理由は?濱口竜介監督が秘話を明かす

リモートでサプライズ登場した濱口竜介監督
リモートでサプライズ登場した濱口竜介監督

 第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で日本映画初となる脚本賞ほか4冠に輝いた映画『ドライブ・マイ・カー』(8月20日公開)の日本最速試写会イベントが31日、スペースFS汐留にて開催。濱口竜介監督がリモートで出演し、主演を務めた西島秀俊のキャスティング理由や、原作で黄色だった自動車を赤色に変えた理由など、映画の裏話を語った。

西島秀俊×濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』メイキング写真

 本作は、村上春樹の同名の短編小説を『寝ても覚めても』の濱口監督が映画化した人間ドラマ。脚本家である妻を失った喪失感を抱えて生きる舞台俳優兼演出家の家福悠介(西島)が、ある過去をもつ寡黙なドライバーとの出会いを機に、変化していく姿が描き出される。

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 カンヌから帰国し、一定期間の隔離のためにリモートでイベント参加となった濱口監督。カンヌで脚本賞を受賞した瞬間について問われると「うれしいという気持ちはあったのですが、それよりもスピーチで何を話そうかということが頭を駆け巡ってしまいました」と本音を明かし、笑いを誘う。

 濱口監督にとっては『偶然と想像』で第71回ベルリン国際映画祭・銀熊賞、共同脚本を務めた『スパイの妻』で第77回ベネチア国際映画祭・銀獅子賞を受賞するなど、世界三大映画祭を制覇する形となった。司会者か思いを聞かれた濱口監督は「制覇ではまったくないのですが」と謙遜しつつ「作ったものに対して、良いと言ってくださる方々がいるのは光栄でありがたいです。でも賞をもらう、もらわないは水物。その意味ではラッキーです」と語る。

 続いて、作品の設定について話が及ぶ。本作では、原作で登場する自動車はサーブ900カブリオレで黄色のオープンカーだったが、映画では赤色の屋根付きに変更されている。濱口監督は「物語の中心は車のなかの会話。僕はできるだけ(アフレコではなく)撮影現場の声を使いたいと思っていたので、オープンカーだとノイズがすごくて声が撮れない」と屋根付きになったことを明かす。 さらに、色が赤色に変更したことについては「日本の風景のなかで車が走り抜けることが、作品の一つの核になると思っていました。黄色というのは自然の緑と色が近く、風景に溶け込んでしまう。赤色なら車が目立つと思った」と説明。

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 主演の西島の起用について「もともと昔から好きで、2000年代は西島さんの出演していた映画ばかり観ていた」と明かす濱口監督。「撮影現場に佇む力のある俳優さん。そういう役者さんと仕事をしたいと思っていました。西島さんが『寝ても覚めても』を気に入ってくれていると聞いて、いつかご一緒できたらと思っていたんです」と念願が叶ったことを明かした。

 また、撮影は2020年2月末からスタートしたが、3月に東京編を撮ったあたりで、緊急事態宣言が発出。撮影が8か月ほど止まり、脚本の変更も余儀なくされたという。公開は8月20日に迎えるが、濱口監督は「元気な状態で、映画館でお会いましょう」とファンを気遣った。(磯部正和)

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