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『アーヤと魔女』3DCGでもジブリ飯!『ハウル』超え目指したこだわり

『アーヤと魔女』より3DCGで受け継ごうと挑んだ、おいしさの表現
『アーヤと魔女』より3DCGで受け継ごうと挑んだ、おいしさの表現 - (C) 2020 NHK, NEP, Studio Ghibli

 スタジオジブリの最新作『アーヤと魔女』は、同スタジオとして初となる全編3DCGで制作されたことが話題になっている。明らかにこれまでのジブリ作品と異なるテイストの映像が展開されるのだが、あちこちにジブリの伝統も受け継がれていたりする。新たなチャレンジと「ジブリらしさ」の融合について、宮崎吾朗監督が語った。

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 『アーヤと魔女』は、「子どもの家」で暮らしていたアーヤが、魔女と名乗るベラ・ヤーガと、謎めいた長身の男マンドレークの家に引き取られ、魔女の手伝いをする物語。『ハウルの動く城』と同じダイアナ・ウィン・ジョーンズの原作で、ベラ・ヤーガとマンドレークの家では、食卓シーンが何度も出てくる。ジブリ作品といえば、食べ物、つまり“ジブリ飯(めし)”も大きな魅力で、これまでも食欲をそそる名シーンが数多く誕生してきた。

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 「3DCGで食べ物がおいしく見えるのか? テーブルに出てきたものを、登場人物がちゃんと食べるのか? そこがひとつの挑戦でした」と宮崎吾朗監督は告白する。

 「たとえば何かを手で持つシーンの場合、手描きなら絵として破綻のないように描いていくのですが、3DCGでは、手や、持つ対象の物体など、すべてモデルを作るところから始めるので、作業量も増えます。だから鍋を混ぜるシーンなんて、いろいろ食材が入っているので本当に大変なんですよ(笑)。手描きの2Dならシンプルにおいしそうに見えるはずが、立体になると逆に生々しくなって、細かいところが気になってしまう。おいしく見えなければ、むしろ映像にしない方がいい、なんて思ってしまったこともありましたね」

(C) 2020 NHK, NEP, Studio Ghibli

 このように3DCGの苦心を語りつつ、「ジブリでは2Dでおいしく表現するための、ひとつのセオリーみたいな、テクニックがあります。それを3DCGでも受け継ごうとしました。大きな課題でしたね」と、手法は変わっても伝統を重視したようだ。

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 歴代のジブリ飯の中でも人気が高いのが、『ハウルの動く城』でハウルが作る朝食のベーコンエッグ。マルクルが分厚いベーコンをじつにおいしそうに食べていたが、原作者が同じ『アーヤと魔女』にも、再びベーコンが登場し、ジブリファンの心をときめかせる。「ハウルに負けないようなベーコンを3DCGで表現できるだろうか? とにかく必死でしたね(笑)。だいぶ実験的なシーンになったと思います」と吾朗監督も『ハウル』への対抗心を笑いながら明かす。3DCGで描かれたベーコンと、登場人物がそれをどのように食べるかは、『アーヤと魔女』の大きな見どころだ。

 さらに食べ物以外にも、『アーヤと魔女』にはジブリの過去の名作と重なる部分を発見できる。アーヤを助けるキャラクター、トーマスが黒猫なのだ。32年前の『魔女の宅急便』で黒猫のキキのキャラクターデザインを手がけた近藤勝也が、今回のトーマスも担当している。宮崎吾朗監督は「近藤勝也は『黒ネコを描くと、どうしてもジジにしかならない』と言っていました(笑)。同じ人間がデザインしているので、似てしまうのは当然。なので、性格の違いなどでその差異を表現したのですが、どうでしょう?」と苦心を振り返った。

 3DCGというジブリにとって記念すべき新たな1ページを開きつつ、スタジオの精神や伝統は脈々と受け継がれている。(取材・文:斉藤博昭)

映画『アーヤと魔女』は全国公開中

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