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ウィル・スミスがぶち切れ平手打ち…ショッキングな出来事に賛否両論

第94回アカデミー賞

ウィル・スミスにビンタされたクリス・ロック
ウィル・スミスにビンタされたクリス・ロック - Myung Chun / Los Angeles Times via Getty Images

 予想もしないことが起こり得るのが、オスカー授賞式番組の楽しいところ。だが、ここまでびっくりさせられた例は、近年を振り返っても思いつかない。今年の授賞式では、客席にいたウィル・スミスが突然舞台に上がり、クリス・ロックの顔を平手打ちするというショッキングな出来事が起こったのだ。(文:猿渡由紀)

【画像】 ウィル・スミス、激怒の瞬間!

 きっかけは、長編ドキュメンタリー部門のプレゼンターとして舞台に登場したロックが、スミスの妻ジェイダ・ピンケット=スミスに向かって、「『G.I ジェーン』(※ヒロインは軍人で丸刈り)の続編が楽しみだよ」と言ったこと。脱毛症を患っているピンケット=スミスの外見をネタにしたジョークだ。それを聞いて、スミスも最初は笑っていたのだが、横で妻が苦い表情をしていることに気づくと、舞台の上のロックに近づいていき、本気でビンタを食らわせたのである。客席に戻ると、スミスはロックに向かって2度何かを叫んだ。ロックは「テレビ史上、最高の夜ですね」となんとか取り繕ったのだが、ムードがガラリと変わったのは明らかだった。

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 スミスはFワードを使ったため、アメリカのテレビ中継ではセンサーシップがかかり、音声が中断されている。唇の動きから、「俺の妻の名前を出すな」と言ったのだろうというのは想像がついたが、それからまもなく音声がそのまま出ている日本のテレビ中継の映像がTwitterで飛び交うと、たちまち反響を呼んだ。ソーシャルメディアには「暴力はひどい」「テレビ史上、最も醜い瞬間」などスミスへの批判や、「病気をネタにするのは品がない」などロックへの批判が、多数寄せられている。

 この段階で懸念されたのは、主演男優賞を受賞すると見られているスミスが、自分で自分の夜を台無しにしてしまったのではないかということだった。念願のオスカーを受賞して再び舞台に上がる時、人は純粋に温かい拍手を送りたいと思うだろうか。だが、実際に主演男優賞で名前を呼ばれたスミスは、受賞スピーチで家族を守ることの大切さを強調し、「愛は、人に狂ったことをさせるのです」とも言って、あんな行動を取った理由を示唆した。その涙ながらの言葉にはハートがこもっており、今回の授賞式で断然思い出に残るスピーチとなっている。良くも悪くも、この授賞式は将来ずっと「ウィル・スミスの年」として覚えられていくことは間違いない。

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 さて、授賞式そのものはというと、昨年に比べ、今年は楽しさがアップしていた。今年のホストを務めたエイミー・シューマーワンダ・サイクスレジーナ・ホールが、思いのほか良かったのだ。「女性を3人雇う方が男性を1人雇うより安いのよ」という彼女らのジョークも、ブラックで笑えた。オスカー授賞式のホストはプレッシャーや責任が大きいわりにはギャラが安く、近年、なり手を確保するのに苦労し、ここ3年はホストなしで授賞式が行われている。ホストがいれば視聴率が上がるのかどうかは不明ではあるものの、彼女らを雇ったのは正解だったと言えるだろう。

 ホストを戻したことのほかに、より幅広い視聴者を惹きつけるため、今年はジェームズ・ボンドの60周年を映像で祝福したり、Twitterで一般の投票を募った「Fan Favorite」の発表を行ったりもした。この「Fan Favorite」は、オスカーに候補入りしなかった人気作品を出してくるための試みなのだが、面白いのは3位に『MINAMATA-ミナマタ-』が入ったこと。アメリカでほとんど知られてもいない今作が入ったのは、ジョニー・デップのファンがTwitterで積極的にキャンペーンをし、投票したからだ。デップのファンのパワーには感心せざるを得ない。

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 スーパーボウルのハーフタイムショーを思わせるビヨンセのショーをはじめ、音楽パフォーマンスもたっぷりだった今年の授賞式が終わったのは、およそ3時間40分後。3時間で終わらせるために、今年は、編集、美術、メイク・ヘアスタイリングなど8部門を生中継の時間から削除したにもかかわらず、またもや大幅オーバーになってしまった。この8部門を削ることには対象の職業の人々を中心に大きな抗議が出ており、このことでまた論議が起きるのは必至。何よりも気になるのは、これらの試みが視聴率アップに貢献したのかどうかだ。明日、その数字が出た後、どんなドラマが起こるのか。スミスがロックにやったようなことにまではならないにしろ、かなりのシビアな戦いが待っているかもしれない。

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