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「カムカム」アニーが涙の告白…描かれ続けたラジオと“聴く側”の物語

るい役の深津絵里
るい役の深津絵里 - (C) NHK

 ついに最終週を迎えた連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(月~土、NHK総合・午前8時~ほか、土曜は1週間の振り返り)。火曜日に放送された第109回では、アニー・ヒラカワ(森山良子)の過去が判明し、るい(深津絵里)が衝撃を受けるという展開が描かれた。このシーンの演出を担当した安達もじりと、制作統括の堀之内礼二郎が撮影の裏側を振り返った(以下、第109回までのあらすじに触れています)。

アニーがラジオで語る思い「カムカムエヴリバディ」場面カット【写真】

 連続テレビ小説の第105作「カムカムエヴリバディ」は、昭和から令和にわたる時代をラジオ英語講座と共に歩んだ祖母・母・娘、3世代の親子の100年を描いた物語。その最終週、ハリウッドによる時代劇『サムライ・ベースボール』の封切りを控え、キャスティング・ディレクターであるアニー・ヒラカワが再び来日を果たした。プロモーションのためにラジオ番組に出演することになった。

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 自身の過去について問われたアニーは突然、日本語を話し出すと、1925年にシアトルで生まれたというプロフィールは偽りで、自身が安子であることを告白するという衝撃展開に。アニーは「るい、お母さんはあれからなんべんも考えたんよ。なんでこげぇなことになってしもうたんじゃろうって……私はただ、るいとあたりめぇの暮らしをしたかっただけなのに」と過去を悔いる。この長い告白シーンでは、アニーの姿ではなく、その言葉に耳を傾けるるいやひなた(川栄李奈)、錠一郎(オダギリジョー)の姿が映し出された。特に、アップで捕らえられたるいの表情にグッとくる視聴者は多かったと思われる。

 このシーンの演出について、安達は「台本上は、アニーとるいをカットバックして交互に映し出すというものでした。ただ、やはり作品全体として、ラジオというのが一つのキーアイテムであり、人と人を繋いできた象徴なんです。物語を通して、聴く側のことをずっと描いてきたという経緯もあり、るいとひなたを中心に表現するのが一番伝わるのでは、と思ったんです」と演出の意図を説明する。

 その言葉通り、自身のことを切々と告白するアニーの声をラジオ越しに聞くるいの表情は圧倒的だった。安達も「すごい緊張感のなか一発撮りだったのですが、本当に深津さんの表情が圧巻で、震えながら撮っていました」と振り返る。実際の撮影現場では、アニーの声を流してそれを聞いて深津が演じたというが、安達は「ほぼドキュメンタリーを撮っているような感覚でした」と明かす。

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 堀之内も「第5週で、安子さんが「カムカム英語」を聞くシーンがありました。その時も、さだまさしさん演じる平川唯一さんがしゃべっている映像は出さず、聞いている安子側だけで受け止める側の気持ちで見せる描き方をしました。るいさんをメインに据えてシーンが展開していった今回の演出は、このドラマらしいですよね」と語る。「ラジオそのものが登場人物に感じられるというか、聞く人と共に生きていたメディアだという温度感・距離感が、伝われば嬉しいです。僕自身も、深い没入感を味わいました」と振り返った。(取材・文:磯部正和)

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