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オードリー・ヘプバーンは何が特別だったのか?

5月4日はオードリーの誕生日。
5月4日はオードリーの誕生日。 - Donaldson Collection / Michael Ochs Archives / Getty Images

 もうすぐ没後30年を迎えるいまもなお、世界中の人々を魅了し続けるオードリー・ヘプバーンのドキュメンタリー映画『オードリー・ヘプバーン』が5月6日より公開される。大女優と呼ばれる人は数多くいても、時代を超える女優、ファッションアイコンであり続けるスターは数少ない。オードリーは何が特別だったのか、輝き続ける理由に迫ってみる。

【写真】幼少期から母の顔も!オードリー・ヘプバーンのプライベート写真

 1929年5月4日、ベルギーのブリュッセル生まれのオードリー。少女時代にドイツ占領下のオランダで第二次世界大戦を経験し、終戦後はバレエダンサーを目指してイギリスで修行を積み、舞台や映画に端役で出演するようになった。間もなく、シドニー=ガブリエル・コレットの小説を原作とするブロードウェイ公演「ジジ」の主演に抜てきされ、同じころ『ローマの休日』(1953)への出演が決まった。

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 のちに『ベン・ハー』(1959)などを撮るウィリアム・ワイラー監督がメガホンを取った『ローマの休日』で新聞記者と束の間の恋に落ちる王女を演じ、映画初主演にしてアカデミー賞主演女優賞を獲得したオードリー。一躍、時の人となった彼女だが、キャサリン・ヘプバーンイングリッド・バーグマンのような威厳のある女優や、マリリン・モンローのようなセクシーな女優とは異なる、中性的で妖精のような存在感は当時の映画界や映画ファンにとって新鮮だった。『麗しのサブリナ』(1954)や『昼下りの情事』(1957)で彼女を起用したビリー・ワイルダーが、「ふくらんだ胸の女性の魅力を、彼女が過去のものにするだろう」と評したことはよく知られている。

 大きなアーモンド形の瞳にブルネットの髪、そして少年のような華奢な体つき。それでいて、『ローマの休日』で王女を演じたオードリーは気品にあふれていた。バレエで鍛えた姿勢のよさや身のこなし、オランダ貴族の家系出身である母方の血統が、彼女の外見や雰囲気に特別な個性を与えている。また、映画の中でのファッショナブルな姿も、作品を観るうえでの楽しみだろう。多くの作品で衣装を担当したデザイナーのユベール・ド・ジバンシィは、彼女とは公私ともに親交があり、彼女の魅力をよく知る人物の一人だった。パリの名所をバックにさまざまなファッションを着こなした『パリの恋人』(1957)や、シンプルなブラックドレスを着用した『ティファニーで朝食を』(1961)など、今見ても色あせない、洗練された輝きを放っている。

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 『ローマの休日』でのブレイク以来、映画スターとなったオードリーには出演依頼がひっきりなしに舞い込んだ。コンゴで看護師として従事する尼僧にふんした『尼僧物語』(1959)や、当時はタブーだったレズビアンをテーマにした『噂の二人』(1961)といった映画にも出演し、さまざまな役に挑戦している。ところが、『暗くなるまで待って』(1967)以降、約10年間スクリーンから遠ざかっていた時代があった。その理由は、子どもや家族との時間を優先させるため。スイスに移り住んだオードリーは、1967年に夫で俳優のメル・ファーラーとの別居を発表し、1968年に離婚。1969年にイタリア人医師と再婚。その後も、静かな生活を送ることを望んで、仕事より愛する家庭を優先した。スターを中心に映画を製作するスターシステムがまだ残る当時、彼女のような大スターがこのような選択をするのはとても稀なことだった。

オードリー
最後の出演作で天使にふんしたオードリー。『オールウェイズ』より Sunset Boulevard / Corbis via Getty Images

 1976年公開の『ロビンとマリアン』で映画界に復活し、その後も数作品に出演したが、家族や身近な人たちとの飾らない生活、そして国際連合児童基金(ユニセフ)の親善大使としてのボランティア活動が彼女の軸となっていった。スター然とはせず、何が大切なのかを見極め、自分に正直であり続ける彼女の生き方こそが、オードリーの最大の魅力だと言える。

 ドキュメンタリー映画『オードリー・ヘプバーン』では、オードリーをかたちづくった幼少期の記憶や、人に愛情を注ぐことを惜しまなかったその生き方を、彼女自身の言葉や関係者が語るコメントでより深く知ることができる。(文・岩永めぐみ)

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