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山下智久が海外で挑戦し続ける理由「面倒臭いと思ったら終わり」

山下智久
山下智久 - 写真:上野裕二

 日本のWOWOWと米 HBO max が共同制作した大作ドラマシリーズ「TOKYO VICE」に出演した山下智久(37)が、海外スタッフとの仕事の中で改めて感じた思いを明かした。アンセル・エルゴート渡辺謙菊地凛子伊藤英明笠松将ら日米のスターが集結した同作で、山下はホストクラブ“ミラリナ”で人気ナンバーワンのホスト、アキラにふんし、「今までやらせていただくことの多かったのが正義感や光の強い役だとすると、今回は真逆の方に振り切った陰のある役」と振り返る。

【写真】横顔も美しい…山下智久、撮りおろしカット<10点>

 ハリウッドと日本の合作ドラマ「TOKYO VICE」は、1990年代の日本を舞台にした全8話のサスペンス。『ヒート』『インサイダー』などのマイケル・マンが第1話の監督、全話のエグゼクティブ・プロデューサーとして参加している。アンセル・エルゴート演じる日本の大手新聞社で記者として働くジェイクが、東京の危険な闇社会に足を踏み入れていくさまを追う。

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 アキラが登場するのは中盤からになるため役柄の詳細は明かされていない部分も多いが、山下によると「人間の汚さや醜い部分みたいなものが大きく出ている役」だと言い、「人を人と思っていないような人物」だとも。

 「彼の中では、女性に貢がせて成り上がっていくことにモチベーションがあると思うのですが、それを正当化できないほどに、人としてかなり欠落しているものがある。救いようがない人物ですが、演じる上では面白いなと。今までやらせていただくことの多かったのが、正義感や光の強い役だとすると、今回は真逆の方に振り切った陰のある役。そんな役もやってみたいと思っていましたから、自分の俳優としてのキャリア面で考えても、すごくいい経験をさせてもらいました」

「TOKYO VICE」より山下智久演じるカリスマホスト、アキラ(C)HBO Max / James Lisle

 役のディテールにもこだわった山下は、「1990年代に、当時流行っていたアクセサリーを先輩から頂いていて、今回はまさにその頃の話だったので、アキラを演じる時はずっとそれを身に着けていました」と私物を取り入れたりもしている。撮影はコロナ禍での中断も挟みつつ長期にわたったため、「これまでは時間がない現場が多かったのですが、今回はありがたいことにたっぷりあったので、演じる役についてじっくり考えながら、監督や共演者の方との関係をゆっくり作っていく経験ができ、その毎日が貴重な日になっていました」と、これまでとは違った取り組み方ができたようだ。

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 2019年公開の中国映画『サイバー・ミッション』で海外作品に初出演した山下は、その後、2020年に世界配信された日欧共同制作ドラマ「THE HEAD」に出演。「TOKYO VICE」のアキラ役は、約3年前のオーディションで勝ち取ったものだった。念願かなっての出演について、山下はこう語る。

 「20代前半くらいから、海外の作品にもいつか出たいと思っていて、チャンスがあれば海外作品のオーディションを受けていました。今回は幸運だったと思いますし、自分の中ではすごく大きい役。モチベーションも上がりましたし、引き続きチャレンジしていきたいと思っています。ただ、オーディションはどんなに準備をして臨んでも、制作側の方々のイメージに近いのかどうかが大事で、受かる確率の方が圧倒的に少ないため、儚いなとも思います。でもその儚さもまた、僕の中では大事なところで、そこにどれだけ情熱をもって挑めるかは、僕のエネルギー量でもある。受かるかどうかわからないから面倒くさい、なんてことを思ったら終わりだと思っていますから」

「TOKYO VICE」より(C)HBO Max / James Lisle

 4月6日に行われた本作の記者会見では、撮影現場で「完ぺきじゃなくていい、格好悪くてもミスがあっても、ありのままの自分でいることを認めていただけた気がした」と話していたが、ありのままでの自分でいることに葛藤した時期はあったのか。「やっぱり競争社会で、『どうやったら人気がでるのか』を意識して生きてきたので、自分自身を隠していたいところもあります。多くの人に好かれないとデビューできないと思っていたから、人気獲得のためにはストレートにたくさんの人に届くことを意識していました。そのため正直に言えば、自分に嘘が生まれてしまっていたこともあります」と振り返り、年齢を重ねて心境の変化があったことを明かす。

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 「でも、それでは何も生まれないなと思ったんです。年齢を重ね、隠してきたところを見せた上でも応援してくださる方が居てくれたらいいなと。あくまで演じる役を通してのことですけど、綺麗なところも、今回のアキラのように汚いところも出していくことが、今後の自分のやりたいことなのかなと。自分としては、今までにない感情になれた役だったことは間違いないので、それを視聴者の皆さんがどう見てくださるのかというのが楽しみですね」

写真:上野裕二

 そして、「TOKYO VICE」を含めた海外スタッフとの仕事の中で、改めてコミュニケーションの重要さを実感したという。「言葉の違いはあるけど、ただ素直に、正直に、いま自分がどう思うのか。Yes、Noをちゃんとはっきり伝える。もしかしたら謙遜みたいなものは必要ないのかなと。それは自分としては楽な部分もありました。ただ、日本で仕事をさせていただく時も基本は同じスタンスですから、使い分けるということではないです。日本でも海外でも、お互いに正直に腹を割って、いろんなカルチャーに対してのリスペクトをもちながら、正直に意見交換をするということが大事だと思っています」

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 今後も、カナダで撮影されたケヴィン・ハート主演のアクション・コメディー映画『ザ・マン・フロム・トロント(原題)/The Man from Toronto』、フランスで撮影された米仏日共同制作の主演ドラマ「Drops of God/神の雫」などの公開、配信を控えている。海外作品に出演する醍醐味について「新しい仲間に出会えることですね。例えばいろんな国にいくことで、どんどん友だちが増えていく感じが楽しいんです」と話す山下。自身の曲のMVをフランスの現場で知り合ったスタッフと撮影するなど、確かに交友関係の広がりは山下自身に大きな刺激を与えているようで、今後のさらなる活躍を期待せずにはいられない。(天本伸一郎)

「TOKYO VICE」はWOWOWにて独占放送中(毎週日曜午後10:00~)

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