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『トップガン』続編、なぜヒット?久々の来日効果も後押し

『トップガン マーヴェリック』より
『トップガン マーヴェリック』より - (C) 2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.

 トム・クルーズの出世作の36年ぶりの続編となる『トップガン マーヴェリック』が5月27日より公開され、大ヒットスタートを記録した。初日から3日間の動員は74万7,192人、興行収入は11億5,756万円を記録(数字は配給調べ)。初日の金曜日から全国の劇場で満席の回が続出した。なぜ、ここまで大ヒットのスタートを切ることができたのか。(斉藤博昭)

【写真】爽やかな笑顔!3年10か月ぶりに来日したトム・クルーズ

公開延期を繰り返しプロモーションが長期化

 特大ヒットとなることは、ある程度予想されていた。『トップガン マーヴェリック』は当初、2019年に全米公開される予定だったが、製作自体の遅れに、その後の新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で、3年間も公開が延期。実際に何度か“公開されそうになった”時期はあり、その際に雑誌媒体で特集が組まれ、すでに発売されたケースもあった。公開延期が繰り返されることで作品を待つ側の興味が薄らいでしまうケースもあるが、本作の場合は、逆にプロモーションの時間が長期にわたって功を奏した印象。新鮮味が失われず、観客の渇望感が上回っていった結果、「一刻も早く観たい」という人たちが初日から劇場に詰めかけることになった。

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 「早く観たい」という欲求は、1986年の前作『トップガン』が大好きだった人たちの間で高まっていたが、『トップガン』はコアな映画ファンに愛された作品というより、一般層に幅広く浸透した作品。何度も観直され、現在の若い世代でも「両親の思い出の作品」などとして一度は観たことのある人も多いのではないか。あらゆる世代から支持を集めていたことも、他の作品とは明らかに違う続編への期待へつながっていた。

コロナ禍で久々の来日効果

プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーと来日会見の様子

 公開直前のトム・クルーズの来日も大ヒットを後押しした。コロナ禍で約2年間、海外スターや監督の来日は一部の例外を除いて事実上ストップしていた。ようやくこの春先から来日が解禁され、誰もが知るトップクラスのスターとして初めて日本に来たのが、トム・クルーズとなった。そのためか記者会見やジャパンプレミアのレッドカーペットのニュースは、過去のトムの来日時以上にメディアに取り上げられた気もする。いわゆる“来日効果”の大きさを久しぶりに示したのが『トップガン マーヴェリック』だった。これが数ヶ月前の公開だったら、トム・クルーズも来日できなかった可能性が高い。今回の公開日に決定される前は、2021年11月公開(日米同時公開)の予定だった。その時期、日本では映画館が通常営業しており、ある程度の集客は見込めただろう。しかし大スターの来日がイベント的に盛り上げてくれることはなかったはず。その意味で公開のタイミングは完璧となった。

 もちろんトム・クルーズのスターとしての“ブランド力”も健在。ただトムの主演作が必ずしも大ヒットにつながっているわけではないのも事実だ。大ヒット確実なのは『ミッション:インポッシブル』シリーズのような知名度のある作品であり、このマーヴェリック役も「トム+おなじみの役」という法則で観客を惹きつけた。その結果、トム・クルーズの直前の主演作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018年8月3日公開)の初日3日間の興収、8億6,830万円を軽々と超えてきたのである(数字は配給調べ)。

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公開前の批評家たちの高評価と、公開後の口コミ

教官としてカムバックしたマーヴェリック(C) 2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.

 さらに国内および海外で、すでに作品を観た人の反応がズバ抜けて高かったことも、今回のロケットスタートの追い風になったと言えそう。アメリカの映画批評サイト、ロッテントマトでは、批評家の数字が96%フレッシュ(高評価)という、この手のアクション映画にしては異例の高さ(5月31日現在)。日本でも公開前に各メディアで絶賛のレビューが目立っていた。そして公開初日を迎えると日本の映画サイトでも、好意的なレビューが続出し、高得点をキープしている。映画・ドラマレビューサイト、Filmarksでは5点満点中4.6、Yahoo!映画でも5点満点中4.7点の評価だ(5月31日現在)。

 前作『トップガン』とのつながりに感動する人がいる一方で、エンタテインメントとして心から素直に楽しんだという評も多く、誰もが興奮と感動を味わえるメジャー感も特徴的。実写にこだわった戦闘機のアクションなど大スクリーンで味わう臨場感も話題となっており、「最高の映画体験」「映画館で観ることができて幸せ」など、スクリーンで観てこそベストと評するコメントが並ぶ。

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 36年ぶりの続編に半信半疑だった人も、公開前、および公開初日の作品へのこうした反応を目にして、劇場に向かう決意が強くなったのではないか。「もう一度観たい」という熱いコメントも多く見られるので息の長いヒットにも期待がかかる。実写の洋画としては2019年の『アラジン』(121.6億円※日本映画製作者連盟調べ)以来の興収100億円を目指し、どこまで数字を伸ばすかに注目したい。

【6月1日17時30分更新】
初出時に一部事実誤認があったため訂正してお詫びいたします。

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