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横浜流星「妥協したくない」俳優としてより高みへ

最高が止まらない横浜流星 撮影:TOWA
最高が止まらない横浜流星 撮影:TOWA

 一本芯の通った、凜とした佇まいも魅力的な横浜流星池井戸潤の小説を映画化した『アキラとあきら』では竹内涼真とダブル主演を果たすなど、出演作の途切れない俳優として目覚ましい活躍を見せている。しかしながら横浜自身は「まだ誇らしく、『僕は俳優です』と言えない気がしていて。もっと誇らしく言えるようになりたい」とようやくスタートラインに立ったような心境だという。自分に厳しく、より高みを目指している彼が今の胸の内を明かした。

横浜流星、“国宝級”な美しさ【インタビューカット】

竹内涼真との“宿命”「勝手に仲間意識を抱いていました」

 本作は、同じ名前だが、生まれも育ちも全く異なる山崎瑛(竹内)と階堂彬(横浜)がメガバンクに入社し、情熱と信念を武器に社会に立ち向かっていく姿を描く。池井戸作品は初めての参加となる横浜は、「池井戸先生の作品は、難しい専門用語が出てきたとしても、誰もが楽しめて、エンターテインメントとして魅力あふれるものになっている」と惚れ惚れ。

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 原作の持つ魅力と共に、横浜の気持ちを動かしたのが「以前『きみの瞳が問いかけている』でご一緒させていただいた三木(孝浩)監督と、またタッグを組める」ということ。また横浜は「烈車戦隊トッキュウジャー」(2014~2015)に出演していたが、今回ダブル主演を務める竹内が、同じ年に「仮面ライダードライブ」に出演していた“特撮仲間”だったことも、大きな喜びだった。

 「竹内くんには、勝手に仲間意識のようなものを持っていたんです」と目尻を下げつつ、「竹内くんが活躍しているのも見ていましたし、このタイミングで共演できてとてもうれしいです。僕も空手をやってきて、竹内くんもサッカーをやっていたとあって、“何かに懸けてきた”という共通点もある。根本的なところで『似ているな』と思う部分もあり、すぐに仲良くなりました」とにっこり。「竹内くんは、芝居をする上でまっすぐに球を投げてきてくれる。“相手に届けよう”という意志が伝わるので、ものすごくキャッチボールがしやすい」と相性の良さも感じたという。

高め合う、ライバルのような存在は?

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撮影:TOWA

 横浜が演じたのは、頭脳明晰な銀行員でありつつ、大企業の御曹司としての宿命に葛藤する階堂彬。冷静沈着に見えながら胸の中には仕事や家族への熱い思いを秘めている男だが、横浜は「内に熱いものを持っているという点は、共感できます。でも自分としては、外にも出しているつもりなんですよ(笑)。誤解されやすいというか、そういう部分があまり顔に出ないというところも、似ているのかなと思います」と役柄への共感を吐露する。

 劇中では、“アキラとあきら”がライバルとしてしのぎを削りながらも、情熱を胸に危機的状況に挑んでいく。彼らはお互いを認め、刺激し合っていくが、世代を代表する俳優となった横浜にとって、ライバルのような存在はいるだろうか? すると横浜は「ライバルは自分かなと思いますが、“また会った時に成長した姿を見せたい”と思わせてくれるのは、藤井監督です」と映画『青の帰り道』(2018)をはじめ、Netflixシリーズ「新聞記者」などタッグを重ねてきた藤井道人監督の名前を挙げた。

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 「話せば話すほど価値観や考え方も似ていて、仕事仲間でもあり、プライベートでも飲んで語り合える仲」と微笑みながら、第43回日本アカデミー賞の授賞式についてこう振り返る。「藤井さんが『新聞記者』で作品賞を受賞して、同じ年に僕も新人賞をいただくことができて。『青の帰り道』のころは、2人で『仕事ないね』と言っていたので、授賞式の場では『なんだか感慨深いね』という話をしていたんです。来年公開予定の主演映画『ヴィレッジ』では藤井組で主演をやらせていただけて、それも本当にうれしくて。藤井さんが頑張っていたら、僕も頑張ろうと思えるので、役者・監督と立場は違えど、彼の存在は僕にとってものすごく大きなものです」

30代に向けて今年は大きな転換期「失敗を恐れずに突き進みたい」

 藤井監督の“作品至上主義のもと、妥協せずにものづくりに打ち込む姿勢”にもシンパシーを寄せているそうだが、横浜の大きな魅力の一つは「妥協したくない。一度決めたことは投げ出したくない」というストイックさだろう。

 ひたむきに努力し続ける精神力をどのように磨いたのかと尋ねてみると、「空手をやっていたことが大きいと思います」と告白。「なんでも突き詰めないと気が済まない性格なんですが、そうやって空手に打ち込むことで実際に結果を出せた自分もいる。役者という仕事には正解がないので不安でもありますが、だからこそ面白いものだとも思っています」と力を込め、そのほかにも「礼儀や地に足をつけることも空手から学び、身体を動かす役をいただいたときにも空手で培ったものが役立っています」とこれまでの経験が、彼をしっかりと支えている。

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 常に全力を注ぐ彼の原動力となっているのは、「応援してくださる方々」だとキッパリ。「どれだけいい作品をつくっても、観てくださる方々がいなければ意味がない。応援してくださる方々の存在が、頑張る活力になります」と感謝をあふれさせたが、受け手の存在をしっかりと意識できるようになったのは、最近のことだという。

 横浜は「『初めて恋をした日に読む話』に出演させていただいて、そのあとに出席した舞台あいさつで、それまでに言われてこなかったような声援をいただいた」そうで、「でもそこで満足したり甘えちゃダメだということもわかっていたので、さらに気を引き締めたというか。小学校6年生からこのお仕事をしているので、たくさんの方に認知してもらえるまでに長い時間がかかっています。そのことで応援してくださる方の存在をより強く感じられるようになったと思うと、その期間があって良かったなと思っています」としみじみとしつつ、「でも『流浪の月』でだいぶ減ってしまったかも!」と広瀬すず演じる恋人に執着し、暴力まで振るってしまうダメ男にふんしたことで、ファンの数に変化があった模様。しかしながら「『流浪の月』は僕にとって挑戦的な作品でしたが、たくさんの反響をいただけた作品でもあります。挑戦したことが報われたなと思いました」と新境地に充実感もたっぷりだ。

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 たくさんのすばらしい出会い、チャレンジを果たしながら、現在25歳となった。そんな中でも「今年は大きな転換期になった」と打ち明ける。「もうすぐ26歳になるので、キラキラとした学生役も演じることができない年齢になってくる。徐々に方向転換していかないといけないとも思っています。そんな中で今年は、本作や『線は、僕を描く』のような幅広い世代の方に楽しんでいただける作品に出演しつつ、『流浪の月』では嫌われてしまうような役柄にも挑むことができました」と思いを巡らせ、30代に向けて「もっと誇らしく、『自分は俳優です』と言えるようになりたい」と希望。「失敗をしないと、きっと成長できないと思っていて。失敗を恐れずに、どんどん失敗しながら、突き進んでいきたいです」と熱っぽく宣言していた。(取材・文:成田おり枝)

映画『アキラとあきら』は8月26日全国公開

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