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陵辱されてきた女性たちが立ち上がる『ウーマン・トーキング』作曲秘話…手掛けたのは『ター』作曲家

『ウーマン・トーキング 私たちの選択』ポスタービジュアル
『ウーマン・トーキング 私たちの選択』ポスタービジュアル - (C) 2022 Orion Releasing LLC. All rights reserved.

 あるコロニーで性的虐待を受けてきた女性たちが立ち上がる姿を描いた映画『ウーマン・トーキング 私たちの選択』の音楽を担当したのは、アイスランドの女性作曲家ヒルドゥル・グーナドッティルだ。『ジョーカー』『TAR/ター』などでも印象的な音楽を紡いできたグーナドッティルが、『ウーマン・トーキング 私たちの選択』といかに向き合ったのかを語った。

【動画】『ウーマン・トーキング 私たちの選択』予告編

 2005年から2009年にボリビアで起きた実際の事件を基にしたミリアム・トウズによる小説を、『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』などのサラ・ポーリーが映画化した本作。あるコロニーで性的虐待を受けてきた女性たちが一堂に会し、「このまま何もしない」「とどまって男性たちと戦う」「コロニーから去る」という三つの選択肢のどれを取るかを徹底的に話し合う姿を映し出す。出演はルーニー・マーラクレア・フォイジェシー・バックリーベン・ウィショーなどで、脚本も手掛けたポーリー監督は第95回アカデミー賞脚色賞を受賞した。

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 グーナドッティルは「サラ(・ポーリー監督)は本作を希望に満ちた優しい作品にしたいという明確なビジョンを持っていました。わたしは初めその考えになじめませんでした。脚本を読んだわたしの最初の反応は、登場人物の女性たちに代わって怒ることでした」と述懐する。しかし、そうした感情とじっくり向き合ううちに、ポーリー監督の選択が理解できるようになったという。「変化の必要を呼び起こすきっかけとして怒りは重要ですが、長い目で見ると着実に前進することこそが、長く続く変化へと導く方法なのです。サラには映画に対して、そして作家・活動家として確固たる自分のビジョンがあるのだと思います」

 「わたしが感じてほしいと思うことをそのまま伝えるのではなく、音楽を聴いた人が自分の感情を咀嚼するスペースを与えられる音楽が好き」だというグーナドッティル。「感傷的な主題に感傷的な音楽を書くのは、クリームにクリームをトッピングしているようなもの。わたしがさほど甘いものが好きではないこともあり、そんなことは避けるようにしています。作品にぴったりの音楽のトーンを探すなかで、押したり引いたりいろいろ話し合いました。特にわたしが登場人物に感情移入して怒っている時、音楽がやや重くなる傾向がありました。そんな時にはサラとデデ(プロデューサーのデデ・ガードナー)がより楽観的で美しい方へと傾くのです。最終的にはうまく折り合えたと思います」

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 「作品のテーマの性質から、最も感情を揺さぶられるチャレンジングな仕事の一つとなりました。しかしそれと同時に、音楽はこれまで書いた中で恐らく最も楽観的なものになっています。わたしにとってとても興味深い経験でした」と大きな刺激になったというポーリー監督との仕事を振り返った。

 ちなみに、今まさに社会で起きていることとストーリーが驚くほどリンクしているという点も、グーナドッティルが本作に惹かれた理由の一つだ。「コロナ禍でDVが増加しているという報告をたくさん聞き、この物語はリアルタイムでわたしたちの周りに起こっていることだと気付きました。多くの女性や子供たちが家庭に閉じ込められ、ひどい暴力を受けているのです。社会が大きく後戻りしているように感じました。そんな中、ロー対ウェイド判決(アメリカにおける人工中絶の権利)が覆され、耳を疑いました。わたしにはとてつもない後退に感じられました。でも『では何ができるか?』を考える時、わたしの答えはいつも『諦めないこと』です。なぜなら、映画と同じように、共に立ち向かう時こそわたしたちは最も強いからです」と力強く語っていた。(編集部・市川遥)

映画『ウーマン・トーキング 私たちの選択』は公開中

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