感動を強要する秘密道具“搾涙器”を発明したのび太の回想録か

3DCGの質感によって彼がロボットであったことを再認識し、逆説的に2Dが喚起する想像力の大きさを思い知る。根本的な問題は企画と脚本にある。出会いと別れを描く有名な7大エピソードを95分に詰め込み、感動譚ツギハギの節操なき「ALWAYS 永遠のドラ」状態。緩急に欠け、話の移行は団子の串刺し的だ。“ドラ泣き”は、宣伝コピー以前に作り手の思惑にあった。感動とは作劇の結果に沸き起こるものであって、作為的に、のべつまくなしに与えられて心地よいものではない。これはドラえもんと上手く決別できず情緒過多になり、周囲にも感動を強要する秘密道具“搾涙器”を発明した、中年のび太の回想録だと考えれば合点がいく。