「起・承・転・転」そして暴発、重厚すぎる後味へ

2021年10月14日 斉藤 博昭 最後の決闘裁判 ★★★★★ ★★★★★

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
最後の決闘裁判

冒頭から戦闘のバイオレンス表現のエグさにリドリーらしさ全開だが、正直、ドラマのポイントは定まらない印象で集中力が途切れそうになる。しかし、それも巨匠の計算どおりか。視点が変わる中盤から、ぐいぐいとドラマの核心が迫ってきて、したたかに真実が見えてくる。しかも俳優たち、特にジョディ・カマーの想像をかき立てる演技によって、その真実は観る者に委ねられる。

血と泥の区別すらできぬ荒涼たるヴィジュアルで14世紀ヨーロッパへ連れて行かれつつ、せり出してくるテーマは、ジェンダー、人間の欲望、「強い方が正しいのか?」と、まさに現在の社会を代弁。そして、そんなテーマすら忘れさせる「決闘」の衝撃で異次元の後味へ。

斉藤 博昭

斉藤 博昭

略歴:1963年神奈川県藤沢市生まれ。高校時代は映画研究部に所属。1997年よりフリーランスのライターとしてさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。得意ジャンルはアクション、ミュージカル。最も影響を受けているのはイギリス作品です。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。

近況:昨年に続いてトロント国際映画祭はオンラインで参加。導入はエイリアンものの「Encounter」、国民的人気TVジャーナリストをレア・セドゥが熱演する「France」、「ダンケルク」の若手俳優たちが愛欲ドロドロを演じる「Benediction」などが記憶に。

サイト: https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohiroaki/

斉藤 博昭さんの最近の映画短評

もっと見る

[PR]