今の基準なら虐待と訴えられかねない、衝撃のオーディション

美しいものは「愛でる」側に幸せをもたらす。逆に「愛でられる」側はナルシストでない限り、なんの幸せも感じない。そんな事実を鋭く突きつけられ、ひたすら切ない気分に。『ベニスに死す』抜擢時のオーディション映像は見ていてあまりに辛い。
現在の風貌は、まるで80代の老人のようで(実際は66歳)、かつての美少年の苦闘の年月に思いを馳せる。「いろいろ起こると、むしろ生きることがラクになる」という本音はことのほか深い。『ミッドサマー』での復活も映画ファンとしてうれしかったが、本作を観ると素直に喜んでいいのか…。
「ベルばら」インスピレーションの源になった事実やCM出演、レコード発売など日本のエピソードは貴重。