全力疾走しかできなかった男のブルース

インタビューで多くの人が口にする“エネルギーの放出量がすごい”。それがベルーシのパフォーマンスの魅力を何より物語っている。
伝記本のために撮られたインタビュー音声を生かし、写真やフッテージ、アニメでベルーシの生涯をたどる構成。お笑いや音楽、演技の才能はもちろん、活動的でリーダーシップもあり、運動神経は抜群。受け手の期待に応えるために力を出し惜しまず、そのストレスから薬物に走る、そんな人間像が見えてくる。
要所に妻への手紙が差し込まれるが、そこで吐露される葛藤や弱音はベルーシの内面の表われ。彼はブルース・ブラザースとして歌った。しかし真のブルースは、最愛の者にのみ歌われていたのだろう。