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狂騒と、時代の変遷に翻弄された、元美少年の記録

2021年12月16日 相馬 学 世界で一番美しい少年 ★★★★★ ★★★★★

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世界で一番美しい少年

 『ベニスに死す』のオーディション風景で当時15歳のビョルンが服を脱ぐことを命じられるが、本作のこの冒頭に、まずギョッとさせられる。

 重点を置くのは、同作で美少年ともてはやされた以後のビョルンの数奇な生。狂騒に消費され、大人になる頃には人生に疲れ果てていた。『ミッドサマー』への出演を含む彼の現在の姿には枯れた寂しさと、生き延びた強さが同居する。

 大人が芸術のために、右も左もわからない子どもの後の人生を犠牲にして良いのか? 現代の価値観ならノーだろう。しかし半世紀前の価値観は、そうではなかった。時代の違いは、許容されるものとされざれものの違いでもある。そんなことを考えさせる秀作。

相馬 学

相馬 学

略歴:アクションとスリラーが大好物のフリーライター。『DVD&ブルーレイでーた』『SCREEN』『Audition』『SPA!』等の雑誌や、ネット媒体、劇場パンフレット等でお仕事中。

近況:『ゴーストバスターズ アフターライフ』『ロックフィールド 伝説の音楽スタジオ』『アイス・ロード』『マリグナント 狂暴な悪夢』他の劇場パンフレットに寄稿。布袋寅泰への取材をはじめ、最近は映画絡みで音楽アーティストに話を訊くことが多くなりました。

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