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残酷な神が支配する「ミューズ」論

2021年12月17日 森 直人 世界で一番美しい少年 ★★★★★ ★★★★★

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世界で一番美しい少年

『ミッドサマー』の北欧の村で見せた風貌、ほぼまんまで登場する現在のビョルン・アンドレセン――60代になった彼の私生活と、『ベニスに死す』の「落差」がまず差し出される。その巨大な隙間に、複雑に乱反射する光と影を必要以上に整理せず映したことで余りにも深い味わいを生んだ。

ヴィスコンティへの告発性も確かに含むが、タッジオという神話的アイコンが(クイーンの初期と並んで)70年代少女漫画の重要なインスパイア源となった歴史は池田理代子が明確に証言する。明治チョコのCMソング『永遠にふたり』など日本での騒乱の日々が甘い郷愁ともなっている辺り、厳しい運命を生きてきた者の詩情と両義性を象徴するのかもしれない。

森 直人

森 直人

略歴:映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『21世紀/シネマX』『シネ・アーティスト伝説』『日本発 映画ゼロ世代』(フィルムアート社)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「週刊文春」「朝日新聞」「キネマ旬報」「メンズノンノ」「Numero TOKYO 」などでも定期的に執筆中。※illustrated by トチハラユミ画伯。

近況:YouTubeチャンネル『活弁シネマ倶楽部』でMC担当中。5月11日より、川和田恵真監督(『マイスモールランド』)の回を配信中。ほか、東盛あいか監督(『ばちらぬん』)、長久允監督(『DEATH DAYS』)、松居大悟監督(『ちょっと思い出しただけ』)、舩橋淳監督(『ある職場』)、犬童一心監督(『名付けようのない踊り』)、片山慎三監督(『さがす』)、二宮健監督(『真夜中乙女戦争』)、原一男監督&小林佐智子プロデューサー(『水俣曼荼羅』)、前田聖来監督(『幕が下りたら会いましょう』)、松浦祐也さん&カトウシンスケさん(『ONODA 一万夜を越えて』)、首藤凜監督(『ひらいて』)、大石規湖監督(『fOUL』)、𠮷田恵輔監督(『空白』)、春本雄二郎監督(『由宇子の天秤』)、ウエダアツシ監督(『うみべの女の子』)、沖田修一監督(『子供はわかってあげない』)、内山雄人監督(『パンケーキを毒見する』)等々を配信中。アーカイブ動画は全ていつでも観れます。

サイト: https://morinao.blog.so-net.ne.jp/

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