行為の残虐さと、音の微かさの対比が鮮やか

中心人物2人は暗殺者と殺し屋で、どちらもとにかく大量に人を殺す。本当にその必要があるのかを検討することなく、殺す。しかも無造作に。殺し屋は途中で「なぜそこまで殺し合う?」と問われて「理由は忘れた」と答える。さらに、その殺戮は大きな音を立てない。消音装置を装着した拳銃の銃弾が身体にめり込む時のポシュッ、ポシュッという音も、大型のナイフが身体に突き刺される時のプシュッ、プシュッという音も、ごく小さな音でしかなく、その行為の残虐さと、音の微かさの対比が鮮やか。舞台は日本からタイのバンコクへと移り、湿気と暑さが増していく中、2人の殺人者の殺意だけが冷えていく。この蒸し暑さと冷気の対比も鮮烈。