新年に戦慄の初笑いを。想定を大きく超える面白さ!

凄い。空疎さに満ちた日本の政治状況を鮮やかに戯画化した傑作だ。監督の坂下雄一郎(86年生)は『神奈川芸術大学映像学科研究室』など「業界もの」に独自の才を見せてきた俊英。ひとつの世界の裏舞台を風刺的な目線で描く喜劇。その延長に今回の地方政界があるが、質は跳ね上がっている!
保守政党の選挙事務所を拠点に、二世議員候補のお嬢様(宮沢りえ)と、澱んだシステムに身を浸しきっている秘書(窪田正孝)が奇妙なバディ感を形成していく。HBOドラマ『Veep/ヴィープ』の影響が大きいようだが、日本的な笑いや捻れに変換する的確な批評性に驚く。シニカル&ブラックながら本質を射抜く眼は真っ直ぐ。映画の後味は抜群だ。