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終わらない旅の過程、繊細な揺らぎを描く

2021年12月28日 森 直人 MONSOON/モンスーン ★★★★★ ★★★★★

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MONSOON/モンスーン

『追憶と、踊りながら』の俊英監督ホン・カウ(75年生)の長編第2作。移民としての自身の実体験を反映させた自伝的内容だ。両親の遺灰を埋葬するため30年ぶりに祖国ヴェトナムを訪れた主人公キット(ヘンリー・ゴールディング)。出会い系で知り合ったハンサムな黒人青年ルイスとの甘い時間を楽しみつつ、キットは大都会へと変貌を遂げた“異国のような祖国”を彷徨う。

「ホーム」を見失った者によるアイデンティティの探索。経済成長が著しいホーチミンと、古き良き情緒を残すハノイの街並みが素晴らしい。都市空間の個性と重層性が、まるでテーマパークを巡る観光客のように、本質的な異邦人としてのキットの心象を際立たせる。

森 直人

森 直人

略歴:映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『21世紀/シネマX』『シネ・アーティスト伝説』『日本発 映画ゼロ世代』(フィルムアート社)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「週刊文春」「朝日新聞」「キネマ旬報」「メンズノンノ」「Numero TOKYO 」などでも定期的に執筆中。※illustrated by トチハラユミ画伯。

近況:YouTubeチャンネル『活弁シネマ倶楽部』でMC担当中。5月11日より、川和田恵真監督(『マイスモールランド』)の回を配信中。ほか、東盛あいか監督(『ばちらぬん』)、長久允監督(『DEATH DAYS』)、松居大悟監督(『ちょっと思い出しただけ』)、舩橋淳監督(『ある職場』)、犬童一心監督(『名付けようのない踊り』)、片山慎三監督(『さがす』)、二宮健監督(『真夜中乙女戦争』)、原一男監督&小林佐智子プロデューサー(『水俣曼荼羅』)、前田聖来監督(『幕が下りたら会いましょう』)、松浦祐也さん&カトウシンスケさん(『ONODA 一万夜を越えて』)、首藤凜監督(『ひらいて』)、大石規湖監督(『fOUL』)、𠮷田恵輔監督(『空白』)、春本雄二郎監督(『由宇子の天秤』)、ウエダアツシ監督(『うみべの女の子』)、沖田修一監督(『子供はわかってあげない』)、内山雄人監督(『パンケーキを毒見する』)等々を配信中。アーカイブ動画は全ていつでも観れます。

サイト: https://morinao.blog.so-net.ne.jp/

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