利益を重んじて人命を軽視する巨大企業の怖さ

アメリカの大手化学メーカー、デュポンが人体に有害な化学物質(当時テフロン加工に使用されていたPFOA)を廃棄し、大勢の近隣住民が深刻な健康被害を被っていることを知ったエリート弁護士が、キャリアばかりか命の危険すら顧みず巨大企業の不正を暴くために立ち上がる。実話を基にしたアメリカ版・水俣病裁判。利益を重んじて人命を軽んじる大手企業の卑劣さにゾッとすると同時に、巨大な権力に怖気づいて忖度してしまう人間の弱さ、田舎者を蔑視するエリート階級の傲慢さなども、環境汚染が長いこと放置された背景に浮かび上がる。それだけに、周囲から変人扱いされても弱者のために戦う主人公の正義感と勇気が際立つ。見応え十分!