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ハウス・オブ・グッチ (2021):映画短評

ハウス・オブ・グッチ (2021)

2022年1月14日公開 158分

ハウス・オブ・グッチ
(C) 2021 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED.

ライター6人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.3

なかざわひでゆき

名門一族の家父長制に抗うわきまえない嫁の逆襲

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 都合よく書き換えられた由緒正しい家族の歴史。そんな偽りの伝統の上に胡坐をかいて、特権階級意識を肥大化させたGUCCI創業者ファミリーの男たち。そこへ野心家のわきまえない女パトリツィアが嫁いだことから、時代に取り残されて腐りかけた名門一族の崩壊が始まる。親族同士の陰謀に裏切りに暗殺と、メディチ家さながらの泥沼スキャンダルを描いた実録ドラマだが、同時にこれは女だから、嫁だから、部外者だからという理由で、その存在を軽んじられ続けたパトリツィアの復讐譚でもある。『最後の決闘裁判』に続いて、リドリー・スコットのフェミニスト的な視点が貫かれた作品。レディー・ガガの芝居にも堂々たる貫禄が漂う。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

家名という重荷に耐えるか、それとも利用するか!?

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 名門ファッションブランドのスキャンダラスな実話も、R・スコットの手にかかると狂暴なドラマと化す。

 なにしろ、愛と欲望、野心と猜疑心が交錯する壮絶な物語。華やかな世界を題材にしつつも、それを強調せず、キャラの心理に肉迫する。名門を重荷に感じる男と、それを利用してのし上がる妻らの思いが交錯。グッチという大きな家名を背負った者たちの、それぞれの生き方が面白い。

 主要キャストはそれぞれに大熱演で、草食系グッチのA・ドライバーもイイ味を出しているが、やはり肉食系グッチ、ガガのインパクトが大。そして、このような強い女性にフォーカスしたとき、スコットの映画は狂暴なまでに吸引力を増す。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

この映画に罪があるとすれば「面白すぎる」ことかもしれない

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

GUCCI一族の内紛を描くグロテスクな帝国崩壊、ファミリービジネスの権力闘争とその末路だが、『マクベス』や『ゴッドファーザー』のパロディみたいな面白さ。ノンフィクション原作をリドリー・スコットがこってり調理し、魑魅魍魎の如き俗物どもが跋扈する超絶ブラックコメディ的に仕上げた。

マクベス夫人に当たるパトリツィア(レディ-・ガガ)はクリムトの絵を見てピカソとか言っちゃう成り上がりで、どんどん関西系のおばちゃん芸能人みたいになっていく(笑)。ギラついたアル・パチーノ老も凄いが、圧巻の存在感はその「ただのバカ息子」=パオロ役のジャレッド・レト! この怪演の嵐だけで2時間39分はあっという間だ!

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くれい響

モード界版『ゴッドファーザー』

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

リドリー・スコット監督が『ゲティ家の身代金』に続き、世間を騒がせたスキャンダルを映画化。今度はまったく下衆じゃないアダム・ドライバーに、歌わなくても映えるレディー・ガガの芸達者ぶりは言わずもがな、アル・パチーノの登場もあり、さながら“モード界版『ゴッドファーザー』”のような作りだ。ただ、野心が空回りするヒロイン・パトリツィアの心情をそこまで深堀りしていないこともあり、“豪華キャストによる「ザ!世界仰天ニュース」”になってしまった感は否めない。結果、前作『最後の決闘裁判』には劣るものの、またも150分超えの長尺を魅せ切るスコット卿のクールかつパワフルな演出はさすがで、★おまけ。

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村松 健太郎

俳優の顔 

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

ますます元気なリドリー・スコット監督最新作は主役になんとレディー・ガガ!この組み合わせだけでも十二分に惹かれます。
『アリー/スター誕生』の時はミュージシャンが演技をしているという感がありましたが、今作のガガは完全に俳優の顔をして登場しています。
彼女の進化がすごいのか、引き出した監督がすごいのかわかりませんが、おそらく相乗効果だったのでしょう。
賞レースの常連が揃った、共演陣はもう安心感抜群で、その演技は見ていて楽しくなります。これもガガが伸び伸びとできた理由かもしれません。上映時間が意外と長いのですが、あまり気にならないほど見事な一本でした。

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斉藤 博昭

巨匠らしい重厚感と、ゴージャスな映像と、エグい一族争いと…

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

描かれることは世間を騒然とさせた大スキャンダルだが、巨匠の語り口は基本、冷静。そして突発的に辛辣でエグい。有名ブランドに、それぞれのプライドと距離感で対峙する一族に、異分子が入り込み支配を広げるプロセスを、的確なエピソードをつまんで描くので、ひじょうに見やすい作り。特に前半はシーン切り替えのテンポの良さ、イタリアロケ駆使の重厚感あふれる映像で「映画らしい映画」を観ている感覚。いい意味でベタな音楽の使い方も気分を上げる。
上昇志向をちらつかせつつ、純粋に恋する女が、自分中心型の政治家のように傲慢&支配的になる変化で、ガガのどっしり感は異常レベル。堂々たる“ファッションショー映画”にもなっている。

この短評にはネタバレを含んでいます
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