この映画に罪があるとすれば「面白すぎる」ことかもしれない

GUCCI一族の内紛を描くグロテスクな帝国崩壊、ファミリービジネスの権力闘争とその末路だが、『マクベス』や『ゴッドファーザー』のパロディみたいな面白さ。ノンフィクション原作をリドリー・スコットがこってり調理し、魑魅魍魎の如き俗物どもが跋扈する超絶ブラックコメディ的に仕上げた。
マクベス夫人に当たるパトリツィア(レディ-・ガガ)はクリムトの絵を見てピカソとか言っちゃう成り上がりで、どんどん関西系のおばちゃん芸能人みたいになっていく(笑)。ギラついたアル・パチーノ老も凄いが、圧巻の存在感はその「ただのバカ息子」=パオロ役のジャレッド・レト! この怪演の嵐だけで2時間39分はあっという間だ!