“音”に集中させる演出も巧いタイトなサスペンス

まず興味を引くのは、航空事故調査の最前線で働く人々の仕事ぶり。旅客機墜落の真相が、どのようなプロセスを経て追及されるのか? 実際に調査局に取材してリアリティを追求した成果が見て取れる。
そして主人公の音声分析という仕事にフォーカスしたつくり。ボイスレーコーダーに残されたわずかな音も聞き逃さず、疑問を追求する主人公。その姿にふれると観客の側も“音”に集中せざるをえない。聴覚からもスリルを味わえる……というわけだ。
人付き合いの悪い主人公は、ざっくり言えばオタク。能力があっても社会性がなければ信用されない、そんなキャラの脆さも活かされ、長尺ながら引き締まったサスペンスが成立する。力作!