オリジナル版で感動した人も必見!

聾唖者家族の中でただひとりの健聴者である女子高生ルビーは、幼い頃から両親や兄の通訳として家業を手伝ってきた。そんな彼女が学校で歌の才能を認められ、教師の薦めで名門音大への進学を希望するも、自分の助けを必要とする家族のため夢を諦めようとする。フランス映画『エール!』のリメイクだが、しかしアメリカの労働者階級を取り巻く生活環境や、その中に生きる身体障碍者の現実をしっかりと投影しつつ、自分の人生と家族への愛情との板挟みに悩む少女の揺れ動く心を鮮やかに描いた脚色は見事。同じ物語なのに全く違った印象を受ける。ラストで歌うジョニ・ミッチェルの『青春の光と影』がまた、本作のテーマを雄弁に語って感動的だ。