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ダイナソーJr./フリークシーン (2020):映画短評

ダイナソーJr./フリークシーン (2020)

2022年3月25日公開 82分

ダイナソーJr./フリークシーン
(C) 2020 by Rapid Eye Movies / Virus Films / Dinosaur Jr. Inc.

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

平沢 薫

田舎の17歳たちがちゃんと生き延びる話

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 もちろん人気バンドの伝記映画として興味深く、関連ミュージシャンたちの続々登場も楽しく、ソニック・ユースのキムやサーストンがいい話をするのは当然として、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのケヴィン・シールズや、ソニック・ブームまで一瞬出てきておお!と思わせたりするのだが、本作の魅力は、そうした映画でありながら、同時に"田舎で成長して周囲からちょっと浮いてる17歳になっちゃった男子たちが、その後もちゃんと生き延びる話"になっていることなのではないか。彼らそれぞれが紆余曲折ありつつ、生きていく姿が映し出されていく。今見ると、高校時代のか細い上腕部が、当時の彼らの精神の過敏さを感じさせて胸が痛い。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

ロックバンドというフリーキーな“生き物”の美しさ

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ロックバンドがいかにイビツな“生き物”であるか? 本作を見て考えたのは、そんなことだった。

 バンドは個人の集合体であり、個々の生き方や考え方の違いで揺れ動く。キム・ゴードンは“病んだ熊”と、そして本作の主人公Jは“機能不全の家族”とバンドについて語るが、ダイナソーJr.が病んだり壊れたりしながら進んできた、その過程をたどることにドラマがあり、それが本作の妙味でもある。

 興味深いのは“演奏が楽しいという発想はない”と、Jが言い切ること。バンド活動は苦しい。でも大切なことだから、やる――イビツであっても“生き物”である以上、生きていく。人生の本質にも通じるテーマが、そこに見えた。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

面白いに決まってる

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

J.マスキスのワンマンではなく3人組としてのダイナソーJr.。彼らはいわゆるキャリア全盛期には実質解体していたバンドだ。筆者にとってもルー・バーロウは基本セバドーやフォーク・インプロージョンの人。その点、この公認ドキュメンタリーは、まだ“Jr.”がなかった頃からの「前史」と、05年にオリジナルメンバーで再結成してからの「現在」がメインで興味深い素材が多い。

USハードコアからグランジへと至るオルタナ現代史の様相も帯びたが、バンドの物語としては波瀾万丈というよりむしろシンプルだ。「売れる」ことより、健全なサイズ感で「続ける」ことが遙かに重要。ちなみにライヴの楽屋にジャームッシュの姿もチラ見え!

この短評にはネタバレを含んでいます
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