差別や暴力は麻薬のように中毒化する

全体主義化したアメリカで国民のガス抜きのため、年に1度の12時間だけ殺人が合法化される…という設定でフランチャイズ展開してきた『パージ』シリーズ最新作。パージ法のタイムリミットに飽き足らなくなった一部の市民が暴徒化し、遂には政府の機能が麻痺したことから、6時間後に迫った国境封鎖までに国外脱出を試みる人々のサバイバルが描かれる。差別や暴力を少しでも許したら最後、麻薬のように中毒化してしまうというのはその通り。移民を快く思っていなかった白人富裕層と、差別に不満を持つ移民労働者が、生き残りを賭けて団結するうちに互いを認め合うという筋書きも、ベタではあるが現代社会に向けた大切なメッセージを孕む。