バズ・ラーマン監督が繰り出す熱が感覚器官を直撃する

本編の前から、製作会社のロゴもスタジオのロゴも、密集する発光装飾素材でギラギラ輝き、それがエルヴィスのラスベガスでのショーの衣装を連想させた瞬間、バス・ラーマン監督による華麗なショーが開幕。後はただ、監督が繰り出してくる圧倒的な熱量の波に翻弄されるばかりの魅惑の2時間39分。あるミュージシャンとマネージャーの話でもあり、アメリカの近代史を描く物語でもあるが、ラーマン監督によるショー論、エンタメ論として見ると興味深い。奇跡が起きるステージは見世物小屋の隣にあり、舞台に立つパフォーマーは、観客たちからエネルギーを与えられて輝く。そのありようが音と映像で描かれて、感覚器官に直接伝わってくる。