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シャニダールの花 (2012):映画短評

シャニダールの花 (2012)

2013年7月20日公開 105分

シャニダールの花
(C) 2012「シャニダールの花」製作委員会
森 直人

孤高の映画作家の静謐な狂気と美

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

「世界の崩壊」を描く映画はハリウッドのエンタメ大作から、『ニーチェの馬』(監督:タル・ベーラ)のような異端のアート映画まで多数撮られ続けているが、本作ほどシュールな美しさに満ちた怪作は類がなかろう。人間(女性)の胸に咲く腫瘍のような花というモチーフは、ボリス・ヴィアンの小説『日々の泡』(『うたかたの日々』)を彷彿とさせつつ、まったく独自の静謐な狂気をたぎらせる。監督の石井岳龍は、「石井聰亙」名義で活動していた初期の『狂い咲きサンダーロード』や『逆噴射家族』の破壊的なアクションが今も人気だろうが(タランティーノも大好きらしい)、聰亙時代の後期作品『水の中の八月』や『ユメノ銀河』といったスピリチュアルでトリッピンな夢幻性を経て、改名後の『生きてるものはいないのか』や本作で、ますます孤高の映画作家としての凄味を増しているように思える。そんな彼の新作に、綾野剛や黒木華といったフレッシュな俳優陣が集まることは、日本のインディペンデント映画における大いなる希望だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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