それでもラブストーリーを描きたかった監督の真意

2013年7月31日 くれい響 終戦のエンペラー ★★★★★ ★★★★★

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終戦のエンペラー

冒頭では、今では誰も語らない『シルク』の悪夢がよみがえりそうになったが、そこはピーター・ウェーバー監督作。“日本の伝統文化”に影響を受けていたレクターを描いた『ハンニバル・ライジング』の、というより、フェルメールの名画の“秘密をミステリアスに”描いた『真珠の耳飾りの少女』の、と言った方がしっくりくる安定感ある仕上がりだ。
『リンカーン』に続き、圧倒的な存在感を漂わせたと思えば、ときにキュートすぎるトミー・リー・ジョーンズ演じるマッカーサーからの命じられた極秘調査の合間に、かつての恋人の消息をたどるフェラーズ准将には首をかしげたくもなるが、監督は明らかに本筋よりもそちらのラブストーリーの方に興味があることが丸わかり。そのため、肝心な調査シーンはほとんど緊張感なく進んでいく…。
 そんな監督からも愛されたヒロインに“いつもの”おかっぱ頭&クールビューティな女優を選ばず、タヌキ顔の初音映莉子をキャスティングしたことは評価すべきだろう。

くれい響

くれい響

略歴:1971年、東京都出身。大学在学中、クイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作、「映画秘宝(洋泉社)」編集部員を経て、フリーとなる。現在は映画評論家として、映画誌・情報誌・ウェブ、劇場プログラムなどに寄稿。また、香港の地元紙「香港ポスト」では20年以上に渡り、カルチャー・コラムを連載するほか、ライターとしても多岐に渡って活動中。

近況:『少年の君』『唐人街探偵 東京MISSION』『星空のむこうの国』『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』『藍に響け』『裏アカ』『新感染半島 ファイナル・ステージ』『ハッピー・オールド・イヤー』『新解釈・三國志』などの劇場パンフにコラム・インタビューを寄稿。そのほか「シネマトゥデイ」にて山田孝之さん、菅田将暉さん&Fukaseさん、「TV LIFE」にて小川紗良監督、駒井漣さん、森田望智さん、恒松祐里さん、高杉真宙さん、池田エライザさん、水野勝さん、高岡早紀さん、「MOVIE WALKER」にて森川葵さん&秋田汐梨さん&萩原みのりさん、「EVIL A MAG」にてB.O.L.Tさん、「CREA WEB」にて和田琢磨さんなどのインタビュー記事も掲載中。

サイト: http://blog.goo.ne.jp/asiareview/

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