崇高な魂の宿った美しき日本映画

耐え難きを耐え、忍び難きを忍ぶ。愛する者のために進んで自らを犠牲にし、身分や立場に関係なく礼節を重んじ、限られた時間の中で与えられた役割を全うする。しかし、己の正義は決して曲げない。お家の体面を保つため、言われなき罪で切腹を命じられた誇り高き武士の姿に、果たして彼のような立ち振る舞いが出来るであろうかと、思わず自らに問うてしまう。まさに身を律せられるような作品だ。
四季折々の美しき日本の原風景に目を奪われ、情感溢れる音楽に胸を揺さぶられる。役所広司ら演者たちの佇まいも素晴らしい。日本人の心、武士道の精神というものに思いを馳せながら、悔いなく生きるということについて暫し考えさられる。