血糊に頼らず、脚本を信じ切った俊英の新境地

『ビューティフル・ダイ』『サプライズ』と快作を連打するアダム・ウィンガード監督の新作は、やはり期待を裏切らない出来。前2作のスプラッター性はなりを潜めたが、それでも十分にハラハラさせられる。
人当たりの良い主人公が少しずつ凶暴性を発揮。その正体を予測させるミステリーのスリルは尻上がりに上昇し、意外な事実が発覚するクライマックスまで目が離せず、サスペンスととしての完成度の高い。
脚本の作りこみを重視するウィンガードの本質が、派手な映像ではなく物語にあることを確認できる逸品。TV方面で活躍しているダン・スティーブンスのカリスマ的な個性も活きた、高純度のジャンル映画だ。