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天才スピヴェット (2013):映画短評

天才スピヴェット (2013)

2014年11月15日公開 105分

天才スピヴェット
(C) EPITHETE FILMS - TAPIOCA FILMS - FILMARTO - GAUMONT - FRANCE 2 CINEMA

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.5

山縣みどり

まるで飛び出す絵本! こんな3D映画を待ってました。

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

色調やメイク、衣装、舞台美術とディテールまで凝った映像美でいつもワクワクさせてくれるジュネ監督が手がけた3D映画だからと期待していたら、スタートしてすぐに降参。機能不全に陥った風変わりな家族が再生するまでを飛び出す絵本を思わせる映像美とドライなユーモアで綴り、一瞬たりともスクリーンから目が離せない。『アバター』以後、多くの監督が3Dを手がけたけれど、この作品が一番好き! 役者陣も監督の美学を受け止めた軽妙洒脱な演技を披露していて、特に輝いているのが天才少年T.S.を演じたカイル・ギャレット。困ったような物悲しい表情が自身の居場所を探せないT.S.役にぴったりで、母性本能をぐぐっと刺激された。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

なるほど「飛び出す絵本」は3Dの元祖!

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

各章冒頭の「飛び出す絵本」が本作の真髄。この絵本は、ジャン=ピエール・ジュネ監督の映画術の象徴。飛び出す絵本にお気に入りアイテムを配置するように、この監督は「ロスト・チルドレン」「アメリ」「ミックマック」でも、彼の美学を凝縮したアイテムを配置して、独自の箱庭的人工世界を構築してきた。これまでのアイテムは室内系で色もデザインもヨーロッパ系だったが、今回は舞台がアメリカの広大な土地。アイテムも、カウボーイ、ホーボー、機関車と、屋外系アメリカ仕様、色調も鮮やかな原色。なのに、ジュネの美学に揺るぎはない。この監督の個性は、アイテム個々のデザインではなく、その配置方法なのだと痛感。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

2014年の一本はこれで決まりです!

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 これぞまさしく“飛び出す絵本”。もともと既成の映画的文法には縛られないジュネ監督だが、本作では最新の3D技術を手にしたことにより、溢れ出るイメージの洪水を自由奔放かつ縦横無尽に散りばめながら、それらを主人公の豊かな知性と繊細な感情をダイレクトに伝えるツールとして見事に機能させている。
 だが、それ以上に素晴らしいのは、天才であるがゆえに理解されない少年スピヴェットの孤独や悲しみを優しく包み込みつつ、子供らしい無邪気な冒険心や飽くなき好奇心のワクワクするような楽しさを見る者に思い起こさせてくれるストーリーだろう。抱きしめたくなるほど愛らしい作品。筆者の“生涯のベスト10”入り確実です。

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森 直人

天才ジュネ流のマーク・トウェイン的世界

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

学校のレポートでは「C+」を付けられる不遇の天才科学少年、T.S.スピヴェットは頭脳派のトム・ソーヤみたい。はみ出し者の冒険という主題もM・トウェイン的だが、本作の自然の風景は玩具的。モンタナの田舎から地球のミニチュアのような映像が展開する。

まさにJ=P・ジュネならではのアメリカ横断ロードムービー。「飛び出す絵本」的な3Dはジョルジュ・メリエスの変奏でもあり、彼のコアにある少年性が最も表出された点において『アメリ』以上の代表作かも。

しかし『リトル・ミス・サンシャイン』にしろ、落ちこぼれの天才を扱う物語はなんて痛快! 彼(ら)は権威や偽善など「社会のコード」から我々を解放してくれるのだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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