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闇への失踪ではなく光への疾走。堕ちるほどに輝く宮沢りえ礼賛

2014年11月15日 清水 節 紙の月 ★★★★★ ★★★★★

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紙の月

 平凡な女性の不倫と横領。堕ちていくほどに輝き、解き放たれる快感。愁嘆場を何度もかわし通俗へ向かわず、映画的見せ場を用意する演出の妙。サタンの囁きを奏でる大島優子、モラルの鎧で縛る小林聡美、母性本能をくすぐる池松壮亮。すべては、空虚で暗鬱な宮沢りえが生彩を帯びていくために存在する。時代や社会に弄ばれ、奇しくもバブル崩壊直後に幸薄きイコンとなった元アイドルが、広告業界出身の映画作家の手によって、金銭を中心に回る通念を打ち砕く一点突破劇として観ることも可能だ。紙幣という冷たく光る神、いや、紙の月を指で消去する場面が切なく美しい。彼女が全力で走る姿、それは闇への失踪ではなく光への疾走である。

清水 節

清水 節

略歴:映画評論家/クリエイティブディレクター●ニッポン放送「八木亜希子LOVE&MELODY」出演●映画.com、シネマトゥデイ、FLIX●「PREMIERE」「STARLOG」等で執筆・執筆、「Dramatic!」編集長、海外TVシリーズ「GALACTICA/ギャラクティカ」DVD企画制作●著書: 「いつかギラギラする日 角川春樹の映画革命」「新潮新書 スター・ウォーズ学」●映像制作: WOWOW「ノンフィクションW 撮影監督ハリー三村のヒロシマ」企画・構成・取材で国際エミー賞(芸術番組部門)、ギャラクシー賞(奨励賞)、民放連最優秀賞(テレビ教養番組部門)受賞

近況:●「シン・ウルトラマン」劇場パンフ執筆●ほぼ日の學校「ほぼ初めての人のためのウルトラマン学」講師●「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」劇場パンフ取材執筆●特別版プログラム「るろうに剣心 X EDITION」取材執筆●「ULTRAMAN ARCHIVES」クリエイティブディレクター●「TSUBURAYA IMAGINATION」編集執筆

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