“泣かせ”とは無縁の、愛すべきハンディキャップ劇

他人とコミュニケーションを取りたくてもとれない、ハンディキャップを持つ青年を主人公に設定しながらも、悲哀ではなく必死な思いをクローズアップ。安易なお涙頂戴とは異なる、前向きさに好感を覚えた。
主人公の活力の中には性欲も含まれ、“おっぱいと星は神さまの偉大な発明品”という独白も飛び出す。同情よりも共感を誘う点で、”人間"のドラマとしてユーモラスかつ温かい魅力が宿る。
主演のダヴィッド・オグロドニックの演技も素晴らしく、『マイ・レフトフット』のダニエル・デイ=ルイスを思わせる熱演。時に必死で、時にいたずら小僧のようでもある表情の演技は、このキャラをチャーミングにしており実に印象深い。