ももクロを見る目が大きく変わる。

自身も舞台俳優・演出家である脚本家・喜安浩平と組んだことで、間違いなく近年の本広克行監督作では断トツの出来。また、1ヶ月半スケジュールを割き、じっくり役に入り込んだ彼女たちから女優魂を感じることで、本作を機に世間のももクロを見る目は大きく変わるだろう。確かにアイドル映画としても、青春映画としてもよくできている。だが、一歩引いて見ると、原作でしっかり描かれてた「銀河鉄道の夜」を“オリジナルとして”上演する意味、そして部長が演出家としての才能を発揮する過程があまりに曖昧。それゆえ、元女優の副顧問が最後に取る決断が胸に響いてこない。彼女を演じた黒木華はももクロを喰うほど素晴らしいだけに悔やまれる。