ヒッチコック映画を思わせるインド製サスペンス

『めぐり逢わせのお弁当』で改めて注目された“歌わず、踊らず”路線のインド映画から、またしても快作が。こちらは、なかなかエッジの効いたサスペンスだ。
失踪した夫の行方を探るべく英国からインドへやってきた妻の奔走劇は、真相が明かされるにつれてスリルの色を濃くしてゆく。臨月という設定からくるか弱さと、精神的な芯の強さを感じさが味となる、その姿はハードボイルド・ヒロインと呼ぶにふさわしい。
強気のヒロインとお人好しの現地警官の交流は、そんな中で一服のユーモアとして機能する。緊張感と笑いが絶妙のバランスで結びついた語り口はインド映画というより、ヒッチコック作品のイメージに近い。面白い!