演じることで素が露わになる、ももクロの奇蹟的なドキュメント

5人のキャラを生かした役柄でありながら、いつも全力投球のアイドルとは異なるももクロがいる。生硬さが目立つ序盤から終幕へ向かうにしたがい、高校演劇部員たちは女優になっていく。少女の今をキャメラが追いかけるドキュメントという意味において、まさに正統派アイドル映画。普通の女の子との境界線を漂う彼女たちは、演じることでアイドルの仮面を脱ぎ、思春期の素を露わにする。女優の夢を捨てた教師役として彼女たちを牽引する、黒木華の存在感が絶品だ。ヨーロッパ企画と組んだ作品では演劇的なフォーマットを残していた本広克行演出は、平田オリザと組むことで絶妙なセリフの間と表情を得て、奇蹟的かつ映画的な瞬間をすくい取った。