ドンデン返しも凄いけど、そのドンデンの余韻が大事

人はついつい先入観を持つ。ここでまた、「クライマックスはインド三大祭りのひとつ、“ドゥルガー・プージャー”のエキサイティングな祝祭空間で、それは単なるローカリズムではなく本質的なテーマを宿している」などと記すと余計な先入観を与えてしまうのでは……と構えてしまう。でもきっと大丈夫。この映画、ミスディレクションと広げに広げた“大風呂敷”の畳み方にワザがあり、「先入観を持った自分ごと」、最後はひっくり返されるのが心地よいのだ。キーとなる危険人物の名は“ミラン・ダムジ”。その語感がイカしてる。脳裏に引っかかって、心の中にぶらさがる。あの“カイザー・ソゼ”という魅惑の響きを初めて耳にした時のように。