この“試合”の最大のポイントは、沈黙が流れる瞬間

ヒトラーの爆破指令を受け、パリの命運握るドイツの将軍と、それを翻意させようとする中立国スウェーデンの総領事、一夜の対話劇。ヒット&アウェイからインファイトへと持ち込む“言葉のボクシング戦”だが、会話が途切れ、二人の間に沈黙が流れる瞬間もスリリングだ。つまり、総領事が部屋を出されるか留まるかが、この“試合”の最大のポイントとなる。シュレンドルフ監督の演出はやや平板なところも見受けられるものの、外交(←これが原題)とは決してキレイごとではないという、苦いリアリズムも含んだ一編で、また、食べ物が人物キャラを伝え、作劇を巧みに転がす“フード理論”に沿って眺めても面白い(本作では口に入る薬も!)。