シネマトゥデイ

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泥も糞尿も内臓も同じ世界を体感する177分

  • 神々のたそがれ
    ★★★★

     泥も糞尿も人体からはみ出た内臓も区別がつかない。モノクロ映像の中でそれらの明度に差異はなく、みな柔らかく、粘りつき、形が定まらない。そのうえ、被写体が常にアップで映し出されるので、ときには近すぎて何が写っているのかも判別できず、ますます被写体同士が互いの差異を失っていく。

     世界がほとんどいつもアップで映し出されるのは、主人公の額に装着された記録カメラで撮影された映像という設定ゆえだが、同時に、ここが人々がみな自分の近くしか見ない世界であることをも意味している。177分の間、そんな世界で泥にまみれ続けているうちに、観客も自分と泥の区別がつかなくなる。この尺の長さは、そんな力を持っている。

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平沢 薫

平沢 薫

略歴: 映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」等で執筆。著作に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況: 高校生たちの生徒会長選挙運動を描くブラック・コメディ「ザ・ポリティシャン」@Netflixを見始めたら、毒がキョーレツ。タイトルからして今のアメリカの政治家ネタで、それを描くならここまでドギツくないとリアルじゃないってことなのだなぁとは思いつつ、笑いもコワバるw

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