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映像が彼女の詩そのものになろうとする

2015年3月29日 平沢 薫 パプーシャの黒い瞳 ★★★★★ ★★★★★

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パプーシャの黒い瞳

 このモノクロ映像は、黒が濃い。黒の強さは、中世の銅版画を連想させる。主人公であるジプシー初の女性詩人が「父なる森よ 大いなる森よ」と呼びかけるその森は、黒く、深い。それが主人公の瞳の黒さと呼応する。

 そして、森は大きい。画面の中でいつも自然は大きく、人々はごく小さく、顔も判別できない。夜の森の中で、人々が火を燃やして取り囲む情景は何度もあるが、常に森は大きく、火は小さく、人々も小さい。物語の時代は第二次世界大戦前後なのだが、映し出される風景はまるで中世の農民画のようだ。

 映画には、主人公が書いた詩自体はごくわずかしか登場しないが、その代わりに、映像が彼女の詩そのものになろうとする。

平沢 薫

平沢 薫

略歴:映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「SCREEN ONLINE」「Movie Walker」「日経エンタテインメント!」「DVD&動画配信でーた」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」等で執筆。他に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況:どちらもまだ途中だけど、クライム・サスペンスかと思ったらかなり変化球の「シャイニング・ガール」@Apple TV+、西部ドラマかと思ったらそれだけじゃない「アウター・レンジ〜領域外〜」@Amazon Prime がスゴくて、最終話が楽しみ。

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