勝負作、あるいは(緻密な計算がもたらす周到な奇跡)

2015年4月12日 森 直人 バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) ★★★★★ ★★★★★

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

いかにも「勝負作」で、実際勝利したのだから見事! イニャリトゥは『アモーレス・ペロス』から運命の悪循環を一貫して描いてきたが、同様の主題をアルトマン的諧謔の業界物として軽妙にスライドさせた。批評家とのバトルは『シェフ』に比べると極端だが、そのぶん爆笑!

『ゼロ・グラビティ』の宇宙空間をトリッキーなロングテイクに応用したルベツキのカメラは素晴らしいが、むしろ作品組成を象徴しているのはA・サンチェスのドラムスコアだろう。フリージャズ的な即興のようで、実は極めて緻密なアンサンブルの賜物。

思えば監督・撮影・音楽がメキシコ人。幻想と現実が混濁した表現はマジック・リアリズムの最新型とも呼べそうだ。

森 直人

森 直人

略歴:映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『21世紀/シネマX』『シネ・アーティスト伝説』『日本発 映画ゼロ世代』(フィルムアート社)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「週刊文春」「朝日新聞」「キネマ旬報」「TV Bros.」「メンズノンノ」「Numero TOKYO (Web)」「映画秘宝」などでも定期的に執筆中。※illustrated by トチハラユミ画伯。

近況:YouTubeチャンネル『活弁シネマ倶楽部』でMC担当中。3月27日より、豊島圭介監督(『三島由起夫vs東大全共闘』)の回を配信中。ほか、入江悠監督(『AI崩壊』)、タナダユキ監督(『ロマンスドール』)、岩井澤健治監督&大橋裕之さん(『音楽』)、片山慎三監督(『岬の兄妹』)と『パラサイト 半地下の家族』を語り尽くす特番、森達也監督&河村光庸プロデューサー(『i 新聞記者ドキュメント』)、小林啓一監督(『殺さない彼と死なない彼女』)、竹内洋介監督(『種をまく人』)、渡辺紘文監督&雄司さん(『普通は走り出す』など大田原愚豚舎の世界)、瀬々敬久監督(『楽園』)、今泉力哉監督(『アイネクライネナハトムジーク』)、二ノ宮隆太郎監督(『お嬢ちゃん』)、大森立嗣監督(『タロウのバカ』)、樋口尚文監督(『葬式の名人』)等々を配信中。アーカイブ動画は全ていつでも観れます。

サイト: https://morinao.blog.so-net.ne.jp/

森 直人さんの最近の映画短評

もっと見る

[PR]