名探偵コナン　業火の向日葵（ごうかのひまわり） (2015)：映画短評

脚本家で出来が変わりがちな本シリーズだが、今回は傑作『絶海の探偵』以来の櫻井武晴。イージス艦トリヴィアに代わってゴッホ「ひまわり」の薀蓄を傾けるが、実はさほど映画的に反映はしない。今回の見どころはかなりのスピード感で立て続けに展開する空中スペクタクル(静野監督が『シドニアの騎士』を手掛けた影響もあるか、いつになくアクション性高し)と、新一のドッペルゲンガー的存在でもある怪盗キッドの大活躍(実質的主役だ)。加えてそのキッドや、「やっぱりそういう展開になっていくの??!」的な灰原哀をも交え多層的に展開する恋愛模様である。しかし肝心の犯罪動機と……榮倉奈々のアフレコが壊滅的に弱いのが難。