作家性を究め商業性も担保する、女優4人の奇蹟のアンサンブル

鎌倉の古い日本家屋の匂いに居住まいを正しながら、四姉妹の立ち居振る舞いに眼を奪われた。父も母も不在の家庭で、それぞれの居場所を求め、屈折しバラバラになってもおかしくない個性を、代々の営みを刻む「家」が守護し、繋ぎとめるのだ。次第に、強くしなやかな家族になっていく様が清々しい。四季折々の風景の中で生きる4人のアンサンブルが奇蹟的。とりわけ、未完の大器・広瀬すずの自然な表情の変化には驚かされる。是枝裕和監督は作家性を遺憾なく発揮させつつも、アート系のタコツボに陥らず、旬な女優を輝かせて興収を約束するテレビ局出資映画としての商業性も見事に担保している。