箱根の情景とともに、彼らにまた会いたくなる

とにかく当て書きだけに、『紙の月』の不倫OL以上にどハマりな大島優子と『ピンポン』のアクマ以来の代表作になった大倉孝二。そんな2人の夫婦漫才のような掛け合いに、久しぶりに“分かってる”監督に使われてる感のある野嵜好美のボケ大会。これによって、いささかムリのある設定も難なく見せてしまう、タナダ監督7年ぶりのオリジナル作品。監督のダメ人間愛がダダ漏れしているのは相変わらずだが、テーマがそこそこへヴィだった前2作に比べると、本作の肩の力が抜けたライトさにどこかモノ足りなさも…。とはいえ、箱根の情景とともに、3人のキャラがあまりに魅力的だけに、彼らにまた会いたくなる中毒性を秘めている。