「アメリカ人の大好きな日本」がぶち込まれた親日ムービー

我が国の都心の路地裏。ウルヴァリンとヒロインのマリコが逃走し、敵から身を隠すためラブホに入ると、受付に流れていたBGMは何と、由紀さおりの往年のヒットナンバー「生きがい」だった! 悶絶。選曲的には珍妙。でも何か嬉しい。よくぞこの名曲を、って気持ちだ。由紀サンの海外進出は存じてましたが、ここまでスんゴイことになっていたか。
いや待て。劇中にはハロー!プロジェクトのシャッフルユニット、セクシーオトナジャンの楽曲「オンナ、哀しい、オトナ」、ヒップホッププロデューサー・DJ PMXによる「その時が来るまで… feat. K DUB SHINE」も。これらは本作のカオスさを物語っているのだった。
日本刀、サムライ、蝶々夫人風ヒロイン、闘う(アニメ的)美少女、ヤクザ、忍者、ロボット……ここには「アメリカ人の大好きな日本」がぶち込まれているわけで、それをほっこりと楽しむ映画。まあ、仇役で映画を引き締めている真田広之は、この座興に付き合い良すぎ……だが。個々のアクションは見応えあり。荒唐無稽だが芯はある。ジェームズ・マンゴールド監督の不可解かつ魅力的なフィルモグラフィーにまた新たな1本が加わった。