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奪還者 (2013):映画短評

奪還者 (2013)

2015年7月25日公開 103分

奪還者
(C) 2013 Rover Film Holdings Pty Limited, Screen Australia, Screen NSW and the South Australian Film Corporation

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

ミルクマン斉藤

パラレルワールドマッドマックス!

ミルクマン斉藤 評価: ★★★★★ ★★★★★

いきなりテロップで「経済破綻10年後のオーストラリア」って、あの世界とほぼ地続き。「2」や「デス・ロード」とはややズレるが、「1」のその後と考えるとなんだかぴったりだ。突発的ではあるが、ためらいなく暴力の行使を惜しまない主人公G.ピアースもよほど“マックス”してるし、いまや気持ち悪さで変態監督に重宝されてるR.パティンスンも好演。不穏な空気に満ちみちてはいるが派手さは皆無、ノイジーで実験的(不意に挟まれる中国歌謡!)な音楽、35ミリフィルムによる空気感ある撮影、とD.ミショッドのいささか特異なスタンスは、美学的にも『アニマル・キングダム』より数等上の境地へ。ラストにはちょっと総毛立つ。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

荒野のデス・ロードを往くオールドスクール型秀作

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

フリーキーに大爆発した本家『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に対し、79年のシリーズ第一作の世界観を正統に継承したのが気鋭監督デヴィッド・ミショットの本作だ。荒廃した近未来を舞台にしつつ、元祖『北斗の拳』的改造が加わる以前、米ニューシネマの味わいに通じる激渋オージー・アクションに仕上げている。

『アニマル・キングダム』に続きミショットと組むガイ・ピアースが「全てを失った放浪者」というマックス的な主人公を好演。だが演者として目立つのはロバート・パティンソンの方か。肝となるのは凶暴性の裏に潜む繊細さだ。『シルビアのいる街で』以降、俄然注目の撮影監督、ナターシャ・ブライエの空間美も素晴らしい。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

一抹の希望も感じるディストピア映画

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

設定的に『マッド・マックス』風なアクションを想像していたら、いい感じに裏切られた。最初はややとっつきにくい。主人公が愛車を奪還したがる理由がわからない上、演じるガイ・ピアースの思い詰めた形相や常軌を逸した行動のせいだ。が、もうひとりの負け犬男が登場してからは人間ドラマ部分に深みが増し、一気に物語に引きこまれる。断片的に与えられる情報から二人の過去やこれからに思いを馳せたり……。利用するはずの男との間に徐々に絆めいたものを培う展開が主人公の孤独を際立たせて、切ない。最後に明かされる車奪還の理由も然りだが、彼の複雑な人間性がディストピアに一種の希望をもたらす気がした。

この短評にはネタバレを含んでいます
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