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クリード チャンプを継ぐ男 (2015):映画短評

クリード チャンプを継ぐ男 (2015)

2015年12月23日公開 133分

クリード チャンプを継ぐ男
(C) 2015 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

ライター8人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.4

ミルクマン斉藤

ロッキー神話はデジタル世代にも繋がる。

ミルクマン斉藤 評価: ★★★★★ ★★★★★

「ロッキー」シリーズはすでに『ザ・ファイナル』で充分なほどに正道を取り戻していたけれど、本作でさらに初心に還り、新たな道筋を発見した感がある。『フルートベール駅で』は誰にも周知のショッキングな事件をこれみよがしな話法で描いて鼻白ませてくれたR.クーグラーだが、そのドキュメンタルな…というよりデジタル世代的なキャメラワークのキレの良さはここで実力発揮。控室からリングへと至る移動長回し(二度反復される)もそうだが、感情が錯綜するシーンのなかで主役は誰なのかをフォーカスだけで指し示す映像的膂力は大したものだ。ビル・コンティの素材を活かしながら、意外な音響をミックスさせるサウンド・デザインにも興奮。

この短評にはネタバレを含んでいます
中山 治美

分かっちゃいるけど、鳥肌立ったクライマックス

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

『ロッキー』世代はテーマ曲を耳にしただけでパブロフの犬のように高揚してしまうものだ。
そのシリーズ最大の武器である音楽の使い方がニクい。
溜めて、溜めての絶妙なタイミングで鳴り響くあのメロディ。
その瞬間、シリーズがロッキーからクリードへと継承されたことを意味し、
最高の場面を用意したスタッフの愛情と、今後この曲を背負っていくであろうマイケル・B・ジョーダンに頼もしさを感じた。
『ロッキー』シリーズは、必ずしもどれも素晴らしかったというワケではない。
スタローンの抗いに「もういいよ」と肩を叩きたかったこともある。
だが見放さずに追い続けてきて良かったと、ファンをも納得させる傑作である。

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清水 節

第1作以来の傑作!這い上がり夢を叶えるロッキー魂、完全継承

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

 6作目『ロッキー・ザ・ファイナル』は有終の美を飾ったが、還暦ファイトは痛ましくもあった。20代のライアン・クーグラー監督がまもなく古希を迎えるスタローンを口説き落として生まれた今作は、好敵手アポロの息子というシリーズの盲点を主役にもってきた。血を引く息子は遠ざかっても、ロッキーのスピリットは、世代も人種も超え、志ある者にしっかりと継承される。選手に肉薄するファイトシーンの撮影が素晴らしい。第1作のトレーナーだったミッキーとほぼ同年齢になったロッキーが、脇に回りセコンドに就く姿に、映画ファンなら自らの歳月を重ね合わせるはずだ。力強く瑞々しい「クリード」シリーズの今後に惜しみないエールを贈る!

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森 直人

こちらの「エピソード7」もめちゃくちゃ凄いぞ!

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

『ロッキー・ザ・ファイナル』があれだけ素晴らしかったのに、さらに上をいくとは! 丁寧に構築された二焦点のドラマに、アポロという不在の男など、シリーズの積み重ねてきた歴史が有機的に絡んでうねりまくる。ファイトシーンの映画的な迫力も含め、すべて完璧。

秀作『フルートベール駅で』の監督&主演コンビが、こちらにスライドして驚愕の達成を遂げた。“伝統と現代”を両立させた彼らのマナーが示したのは、魂の継承の美しさだ。ロッキーには実の息子もいる設定だが、彼はボクシングに向かなかった。アドニスは血縁ではなくとも最良の“二世”だ。アメリカ映画が描き続けてきた「父と息子」の神話の感動的な変奏がここにある!

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山縣みどり

噛ませ犬のサーガに新たな1ページが加わった

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

シルベスタ・スタローンを一夜にしてスターにした『ロッキー』。根性と愛を証明するために戦い抜いた主人公の姿が彼自身の期し方ともかぶり、世界中が熱狂。その興奮を再び味わえるのがこのスピンオフだ。9年前の闘いを最後にリングから去ったロッキーが今度はトレイナーとなり、親友の忘れ形見アドニスを鍛える。フィラデルフィアの街を走り、鶏を追いかけとシリーズへオマージュを捧げつつ、アドニス自身のアイデンティティ問題も描く展開で物語に深みが加わった。負け犬に共感しちゃう派だし、父の息子と必死で証明したがる青年を演じたマイケル・B・ジョーダンの真摯さがまた心を揺さぶる。続編製作の話もあるらしく、期待大。

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くれい響

あの星条旗柄トランクスも復活!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『エクスペンダブルズ』でドラゴとイチャつく姿にキレたのか、アポロJr.がロッキーに弟子入り志願!『フルートベール駅で』の監督だけに、極貧生活からのし上がる新たなアメリカンドリームかと思いきや、保険会社勤務のボンボンが転身する意外性に驚き。その後は、まだまだイタ飯「エイドリアン」経営中のロッキーとの師弟愛に、ヒロインとのラブ要素も絡めるなど、かなりベタな展開だが、ここまで誠実なスポ根を観せられて胸アツにならない方がおかしい。正体が分かった後の世間の湧き方など、『ウォーリアー』の影響も見られるが、名シーンのオマージュはしっかりアップデート。ここまでクオリティの高いスピンオフなら、いくらでも観たい!

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平沢 薫

製作舞台裏がすでに感動のドラマになっている

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 アフリカン・アメリカンの少年だった監督が父親と一緒に見た「ロッキー」シリーズは、主人公のライバルで後に親友になるアフリカン・アメリカンのボクサー、アポロ・クリードの物語だった。少年は長じて映画監督になり、アポロの息子の物語を描きたいと熱望する。そして、その夢を「ロッキー」の生みの親シルベスター・スタローンに伝えると、スタローンはまだ1作しか撮っていない若い監督に、この人気シリーズの監督を任せる。「ロッキー」公開時のスタローンは30歳、本作の監督ライアン・クーグラーは現在29歳でほぼ同い年。スタローンはこの監督にかつての自分を見たのだろうか。そんな舞台裏だけで、すでに感動のドラマになっている。

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相馬 学

老いも若きもアツくする、注目の俊英のイイ仕事

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 スピンオフとはいえ『ロッキー』シリーズの続編を、20代の若い監督が真っ向から撮る。そして若い観客にもアピールし得る、アツいドラマが生まれたことは素直に嬉しい。

 『フルートベール駅で』で注目された俊英ライアン・クーグラーの現実感重視の演出は、主人公クリードの目線に寄り添い、息遣いを生々しく感じさせる。とりわけ、ワンカットで撮影した試合の迫力は圧倒的。

 自分の伝説を作ろうとする若者像をとらえた本作は紛れもない青春ドラマだが、一方で老ロッキーのドラマもしっかり押さえており、オールド・ファンへの目配せも抜かりない。おなじみのフィラデルフィアの風景だけで、不覚にも涙腺が緩んでしまった。

この短評にはネタバレを含んでいます
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