シネマトゥデイ

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この激しくも悲しい思春期SFが限定公開で終わってはいけない!

  • クロニクル
    ★★★★

     またもPOVのファウンド・フッテージものか…という一言で片付けられることなく全米で社会現象化したのは、驚き以上に思わぬ切なさに満ちていたからだ。『キャリー』のキャッチコピーを引用し「アンドリューをいじめないで! 彼が泣くと恐しいことが起こる…」と語りたいほどに激しくも悲しい思春期SFは、鬱屈した高校生が、失業中の父との確執、病床の母への思慕、虐めに遭う学校生活といった日常をビデオカメラで撮影していく。そして得てしまった強大な特殊能力。青年は持て余し暴走する。一人称の主観撮影映像という手垢の付いた設定は、カメラをも念動力で動かす発想によってまんまと更新され、三人称映像や監視カメラ映像へスムーズに移行し視点は拡がりを見せる。
     
     『パラノーマル・アクティビティ』はスピルバーグの助言でエンディングを差し替えることによって恐怖が増大したが、本作の後半はあの衝撃度を100倍に増幅させる。ティーンの内的葛藤の発露が、『AKIRA』をも凌ぐ壮絶な超能力バトルに発展するのだ。このセンス・オブ・ワンダーな思春期SFが、劇場パンフすら制作されない首都圏限定2週間公開なんて日本の映画界はどうかしている。

⇒映画短評の見方

清水 節

清水 節

略歴: 映画評論家・クリエイティブディレクター|●日藝映画学科中退後、映像や編集の制作会社等を経て制作・編集・文筆業●映画誌「PREMIERE」「STARLOG」等で編集執筆●フリーペーパー「Dramatic!」編集長●海外ドラマ「GALACTICA」DVD企画制作●著書に「いつかギラギラする日 角川春樹の映画革命」「スター・ウォーズ学」(共著) ●WOWOW「ノンフィクションW 撮影監督ハリー三村のヒロシマ」企画制作で国際エミー賞、ギャラクシー賞、民放連賞最優秀賞 受賞

近況: ●kotoba春号「特集:ブレードランナー2019-2049」●デジタルハリウッド大学「アニメフォーラム」講演●映画.comコラム●「Pen」SF特集/●NHK BSプレミアム「ザ・ベストテレビ」出演●ニッポン放送「八木亜希子LOVE&MELODY」●TOKYO FM「ピートのふしぎなガレージ」

サイト: http://eiga.com/extra/shimizu/

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