シネマトゥデイ

シネマトゥデイ

アウシュヴィッツで正気を保つ方法

  • サウルの息子
    ★★★★★

    徹底的な一人称のカメラワークが印象的だ。
    周囲が見えないその手法は塚本晋也監督『野火』を彷彿とさせるが、目的は異なる。
    『野火』は目の前のことに精一杯であるのに対し、
    サウルは大量の死体も、ガス室の阿鼻叫喚も、見ないふり、聞こえてないふりをして
    ゾンダーコマンドの任務を黙々とこなしていたのではないだろうか。
    正気を保ち、人間らしくいる為に。
    その中見出した、ガス室で生き残った少年という希望。
    本当の息子かどうかは分からない。
    でも、それはどうでもいいのだ。
    彼を手厚く葬ることで、自分がそこに存在した証を託そうとしたのではないだろうか。
    それをも許さぬ戦争という狂気。
    ただただ、憎悪する。

⇒映画短評の見方

中山 治美

中山 治美

略歴: 茨城県出身。スポーツ紙記者を経てフリーの映画ジャーナリストに。週刊女性、GISELe、日本映画navi、goo映画、スカイパーフェクトTV(ぴあ)、朝日新聞webサイトおしごと博物館内で「おしごとシアター」などで執筆中。いつの間にやら映画祭を回るのがライフワークとなっている。お気に入りはオランダ・ロッテルダム国際映画祭とスペインのサンセバスチャン国際映画祭。

近況: 本サイトで「映画で何ができるのか?」と「ぐるっと!世界の映画祭」を連載中。また、編集に携わった塚本晋也監督・著「『野火』全記録」(洋泉社)、DVDマガジン「石原裕次郎シアター」(朝日新聞社)が発売中デス。

サイト: https://www.oshihaku.jp/series/00007

» 中山 治美 さんの映画短評をもっと読む

[PR]
おすすめ特集
映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
楽天市場
スポンサード リンク